“中国も顔負け”な日本のデタラメ経済政策「アベノミクス」が招いた悲惨な結末

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金融緩和、財政政策、成長戦略を「3本の矢」として、安倍政権のもとで進められたアベノミクス。株価の上昇や企業利益の大幅増等をもって「成功」とする向きもある一方で、我々庶民はその恩恵にあずかれた実感に乏しいというのが現状です。では、識者はアベノミクスについてどのような評価を下しているのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、アベノミクスは「経済学というより詐欺師的な心理操作ゲームの発想が裏づけとなっていた」として、そもそもの大元となる部分の“犯罪性”を指摘。その上で「現在の日本に必要なのは、アベノミクスの出発点にまで遡った徹底総括である」との見方を示しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年11月15日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

アベノミクスは一体どこへ行ってしまったのか?/中心ブレーンだった学者もまともに総括できない虚妄の経済学

アベノミクスの中心イデオローグで安倍政権の内閣官房参与も務めた浜田宏一=東京大学名誉教授が11月12日付毎日新聞夕刊の「特集ワイド」に登場し、アベノミクスの中心目標だった2%の物価上昇が達成できなかったことについて、「僕は物価目標の未達は国民にはマイナスではないので気にしない」と言い放ったのは驚愕した。

「この道しか無い」と宣言したのに

もはや皆さんの記憶も薄れているかもしれないが、安倍晋三首相(当時)は浜田らのアドバイスを受けて、日本経済が陥っていた停滞を「デフレ」と認識し、デフレと言えばモノが余ってカネが足りない状態を指すのであるから、日銀をして「異次元金融緩和」に踏み切らせ、カネをどんどん印刷して日銀を通じて世の中に供給させればいいとし、「この道しか無い」という毛筆のフリップまで得意げに掲げて記者会見した。

しかも、その効果はたちまち現れて、1~2年中に2%程度のインフレが実現して経済は好循環を取り戻すという楽観的な見通しが想定された。どうしてそうなるのかと言えば、これは浜田というよりノーベル賞経済学者のポール・クルーグマンが大元なのだろうが、「一時的な財政出動」や「紙幣の大量印刷」によってカネをじゃぶじゃぶにすれば、人々は金持ちになったかのように勘違いし、しかも近々インフレがやってきて金利が上がりそうだから、今のうちに住宅を買ったり車を乗り換えたり大きな買い物をしてローンを組んだ方が得かもしれないという心理に追い立てられて消費がブンブン回り始めるという、「騙しのテクニック」のような、経済学というより消費者を弄ぶ詐欺師的な心理操作ゲームの発想が裏づけとなっていた。

当時から私は、これは「ブードゥー(お呪い)経済学」で、こんなものにノーベル賞を与えたのはノーベル財団の恥だと正面切って異を唱え、とりわけ為政者の都合で人為的に物価を吊り上げて国民を騙したり脅したりして消費に駆り立てるなどもってのほかだと主張した。しかし、浜田や安倍はそれが景気回復への道筋なのだと信じて突っ走った。

※ 文末にINSIDER No.812のクルーグマン批判を添付する

その張本人の浜田が、今になって「物価目標の未達は国民にマイナスではないので気にしない」とはどういうことだ。それさえ達成すれば魔法のように日本経済が蘇るかのように言って掲げた「2%の物価上昇」は、実現しようとしまいとどうでもいいようなことだったのか。実現しなかったことで国民にマイナスを与えなかったのでむしろよかったということなのか。ふざけた話である。

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