■ことわざを見て、我が子を客観的に見られるようになろう
「這えば立て、立てば歩めの親心」
子どもが何かできるようになると、すぐその次を願ってしまうのが親の気持ち、つまり親心というものだ。これは大切な気持ちでもあるが、気を付けるべき点もある。というのも、これが行き過ぎると子どもに大迷惑を掛けてしまうからだ。
特に他の子と比べたり、本やマニュアルを頼り過ぎるのは良くない。本には「○歳までには~を」と書いてあるが、子どもの発達は百人百様。杓子定規に我が子に当てはめると、発達課題を十分にこなせずに先へ進んでしまい、後で弊害が生じたり、自信を失ったり、叱られて親への不信感を抱くこともある。
おっぱいを吸いたがる子を無理やり乳離れさせたり、トイレトレーニングがうまくいかず叱りつけたり。親の願いといえば聞こえはいいが、言い換えれば親の勝手、親の都合だ。
子どもそれぞれのオリジナルペースを尊重し、ありのままを受け入れて許すことが大事だ。そういう親なら子どもは安らかな気持ちになって、自己肯定感を持つことができる。
自己肯定感を持てた子だけが、自分で前に進めるようになるのだ。親に叱られることが多くて、「自分はダメだ」「自分にはできない」という自己否定感を持ってしまった子は、自分で前に進む勇気とエネルギーが持てなくなる。
子育て真っ最中だと、このあたりの逆説がなかなかわからないと思う。無理のないことだとも思うが、子どものために、ぜひ、早く気付いてほしいと切に願っている。
初出「親力養成講座」日経BP 2009年8月3日
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