柱の意味するもの
「鬼殺隊」のトップ9人の剣士は「柱」と呼ばれています。「柱」には、組織を成り立たせ、支える最も重要は人を意味します。しかし、死者の霊を数えたり、神や仏、高貴の人を数えたりする助数詞でもあります。ここに「死者の霊=鬼」という構図を見ることもできます。
先に述べたように、鬼舞辻側、産屋敷側に立って戦うものたちは、それぞれに過去の辛さを引きずっています。つまり、鬼になるか鬼殺隊になるかは、偶然が導いた結果とも言えます。それは炭治郎の最後の姿に象徴されています。
表と裏の存在
「人を妬まぬ者は運がいいだけだ」という黒死牟のことばは、「鬼殺隊になった者は運がいいだけだ」と読み替えることもできそうです。
まさに表裏一体。物事には必ず表と裏があり、それが分かちがたく存在しているということかもしれません。シェークスピアの戯曲『マクベス』にも「穢いはきれい、きれいは穢い」という台詞に通ずるものがあります。
ことばの意味するものが、人の思いを左右します。また、人の思いがことばの意味するものを作り出しもします。「鬼」も僕たちの思いが表出したものの姿かもしれません。
産屋敷耀哉は鬼舞辻無惨に言います。
永遠は人の想いだ。
人の思いこそが永遠であり
不滅なんだよ
君は誰にも許されていない
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image by: sumito / Shutterstock.com