「オミクロン株の危険性」ばかり強調するマスコミを疑え。上昌広医師が緊急提言

2022.01.14
by 上昌広
 

オミクロン株に感染したらどうすればいいのか

では、オミクロン株に感染した場合、どうすればいいのか。最近になって緩和されたが、日本では、オミクロン株感染者は、原則として入院が必要だ。

これは患者にとっても、社会にとっても最悪の対応だ。大部分は無症状、あるいは軽症なのだから、医学的には入院の必要はない。高齢者は入院をきっかけに、認知症が進んだり、体力を落とすから、出来るだけ自宅で治療すべきだ。

ただ、そうはいっても、高齢者や持病を有する人の中には、心配な方もおられるだろう。そういう方にはオンライン診療で、医師が定期的に診察すればいい。

コロナの流行が始まり、世界中で「非接触」の需要が高まった。必要は発明の母だ。

この2年間で世界の医療提供体制は大きく変化した。昨年11月には、米ジョンソン・エンド・ジョンソンが、糖尿病治療薬の第3相臨床試験を、被験者が医療機関に通院することなく、全てバーチャルでやり遂げたと発表しているし、昨年1月には、米ユナイテッドヘルスケア社が、遠隔診療に限定したプライマリケアを提供する保険の販売を米国11州で開始している。同社の調査によると、利用者の4人に一人は主治医と直接会うより、バーチャルなやりとりの方が良いと回答している。

日本医師会の抵抗もあり、日本ではオンライン診療が進んでいないが、一部の開業医は熱心に取り組んでいる。万が一、オミクロン株に感染し、自宅療養となった場合、保健所が紹介する医師への対応に満足できなければ、遠慮なく、このような医師に連絡し、オンラインで診療を受けることをお奨めする。

経口治療薬

オミクロン株の多くは無症状、軽症といえども、高齢者やハイリスク患者が万が一感染した際には、早期治療、つまりコロナ治療薬の服用が望ましい。点滴薬もあるが、経口薬なら、自宅での服用も可能だ。

ところが、その治療薬の入手が遅れている。米メルク社のモルヌピラビル、米ファイザー社のパクスロビドなどの経口治療薬は、感染早期に投与することで、重症化や死亡のリスクを、それぞれ3割、9割減らすことが証明されている。このような治療薬はオミクロン株にも有効だ。世界各国は治療薬確保に奔走している。

米国政府は1月4日、ファイザー社のパクスロビドの供給を、昨年11月に契約した1,000万回分から2,000万回分に倍増させたと発表した。1月末までに400万回分が納入される。日本が確保したのはモルヌピラビル160万回分、パクスロビド200万回分で、十分量とは言いがたい。1月7日、日本経済新聞は、調剤薬局クオールで「4日時点で全店の1割にあたる約90店に届いたが、この店には1箱、患者一人分のみ」という状況を紹介している。

コロナ治療薬確保は、政府の仕事だ。奮起を期待したい。

追加接種の促進を

治療薬の確保と並ぶオミクロン株対策の中核は追加接種だ。従来型ワクチンの追加接種はオミクロン株にも有効だ。昨年12月11日、イスラエルのシェバ・メディカルセンターと同国保健省の中央ウイルス学研究所は、追加接種により、オミクロン株への中和活性が100倍高まったと報告している。同様の研究は、昨年12月23日、米マサチューセッツ総合病院の研究グループが、米『セル』誌に報告している。

世界各国は追加接種の推進に懸命だ。残念なことに、日本は先進国で一人負けだ。OECD加盟38国中、35カ国が接種率を公表しているが、日本は断トツの最下位である。

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岸田総理は、大規模接種会場を再開するなどして、追加接種を前倒しする方針を明かしている。速やかに追加接種されることをお奨めしたい。

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