CX向上のメリット
CXデザイン戦略の一例を見たところで、次はどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
CXは製品やサービスとは別の、心理的・感情的な価値だと申し上げました。その部分を向上するメリットはやはり、ユーザーの満足度を引き上げることにあります。
逆に言うと、CXを怠ることは顧客の心理的・感情的な部分でマイナスの価値を生み出してしまうことにもなります。味は美味しいけどサービスが悪いから行きたくないお店というのは、少なからずみなさんも経験あるのではないでしょうか。
スライドにもある通り、とある調査では70%の顧客は満足なサービスを受けられなかったときにその企業からは離れていきます。
逆に値段は多少高くても居心地がいいので利用するお店というのもあるのではないでしょうか。身近な例だとスターバックスは他のコーヒーショップより高めの値段ですが、サードプレイスという方針に従って顧客が長居したくなるような居心地のいい空間づくりを意識してリピーター客を獲得しています。これもCX戦略のひとつですね。事実、CXを意識した企業のリピーター獲得率はそうでない企業の7倍高いと言われています。
同時にブランドイメージの向上、また先程の第一生命の話同様、顧客が知人友人におすすめしてくれることで間接的な宣伝効果も期待できます。
以上が、CXデザイン戦略の説明です。
CXを考える3つの着眼点
今回の話を、以下の3点にまとめました。それぞれ説明してきます。
1つめは顧客視点。これは前回のマーケティング編でも何度も出てきた話ですが、顧客側の視点に立って考え、製品・サービスの顧客との接点を考える。それぞれの顧客にとって最適なCXを提供すること。これがCXのスタート地点です。
2つめは心理的・感情的な価値。これがCXそのものでもありますが、製品やサービスそのものとは別の満足感を与えること。それは企業の方針や、製品の特徴、ターゲットとしている顧客層によっても違いますが、商品価値そのもので勝負するのではなく、CXで差別化することを意識していきます。
3つめがNPS(継続的改善)。アンケートなどを通じて、顧客のリアルな体験を分析すること。つまり、企業側の提供するCXは適切だったのか。そうでなければどうすれば改善されるかを継続的に考えCXを向上していくことが不可欠です。
最後に、一流二流三流の違いを一言でまとめした。この話がみなさんのビジネスに役立てれば幸いです。
一流二流三流の違い
【三流】物理的・合理的な価値を顧客に訴求(弱い差別化)
【二流】心理的・感情的な価値を顧客に訴求(強い差別化)
【一流】顧客が見えない接点も含めて心理的・感情的な価値を顧客に訴求する仕組みを構築>
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