“第2の河井夫妻”事件か。元検事・郷原信郎氏が解説する自民京都府連マネロン問題の裏側

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自民党の京都府連が国政選挙の候補者から集めたカネを、選挙区内の地方議員に配っていた事実が発覚し、衆院予算委員会でも取り上げられるなど大問題に発展する様相を呈しています。「政治とカネ」と言えば2019年の参院選を巡る「河井夫妻事件」が記憶に新しいところですが、当案件に関しても彼らと同じ罪が問われることになるのでしょうか。今回のメルマガ『権力と戦う弁護士・郷原信郎の“長いものには巻かれない生き方”』では元検事で弁護士の郷原信郎さんが、この京都府連による現金配布問題を徹底解説。その上で、「公選法上の買収に該当することは否定できない」と結論づけています。

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プロフィール:郷原信郎(ごうはら・のぶお)1955年島根県松江市生まれ。1977年東京大学理学部卒業。鉱山会社に地質技術者として就職後、1年半で退職、独学で司法試験受験、25歳で合格。1983年検事任官。2005年桐蔭横浜大学に派遣され法科大学院教授、この頃から、組織のコンプライアンス論、企業不祥事の研究に取り組む。2006年検事退官。2008年郷原総合法律事務所開設。2009年総務省顧問・コンプライアンス室長。2012年 関西大学特任教授。2017年横浜市コンプライアンス顧問。コンプライアンス関係、検察関係の著書多数。

自民党京都府連選挙資金マネロン問題を徹底解説

『文藝春秋』3月号で、京都における国政選挙の際に、自民党候補者が選挙区内の府議・市議に50万円を配っていた「自民党京都府連の選挙買収問題」が報じられた。

「衆議院選挙、参議院選挙とも候補者からの資金を原資として活動費(交付金)を交付しております。これは府連から交付することによる資金洗浄(マネーロンダリング)をすることにあります」

とする内部文書に基づくものであり、実態が、国政選挙のための買収であることは否定できないように思える。

この問題について、2月10日の衆院予算委員会で、参院京都府選出参議院議員で、前府連会長の二之湯智・国家公安委員長は、立憲民主党の城井崇氏からこの問題について質問され、地元議員に金を配っていたことを認めた上、「選挙活動の目的ではなく、党勢拡大のためで、適正に処理している」と買収疑惑を否定した。

さらに、同日、松野官房長官は、この問題について、二之湯国家公安委員長から報告を受けたとした上、「法令に則して、適正に処理をしているということでございます。私の方としては、その説明を了といたしております」と述べて、法的な問題はないとの認識を示した。

しかし、選挙活動のための資金として現金を配布する、というまさに「買収」そのものの行為を行い、それを「府連から交付することによる資金洗浄(マネーロンダリング)」とまで言っているのに、なぜ、「法令に則して、適正に処理をしている」ということになるのか、一般人には、さっぱりわけがわからないだろう。

これについて理解するためには、そもそも、公選法の「買収罪」というのが、どのような行為で、これまで、警察、検察がどのような行為を処罰の対象にしてきたのかを認識する必要がある。そして、参議院広島選挙区をめぐる河井元法相の多額現金買収事件の摘発が、そのような従来の買収罪の摘発とどのような関係にあるのかを理解することで、問題の所在が見えてくる。

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