持ち帰り弁当大手の「ほっともっと」が開催する、看板商品の値下げキャンペーンが話題となっています。同社が最大100円という大胆な値引きを敢行する意図は、一体どこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』ではMBAホルダーの理央 周さんが、ほっともっとが「期間限定」で値下げを実施した背景を分析・解説。さらにそこから学ぶべきことを考察しています。
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ほっともっとは、なぜ値引きキャンペーンをするのか? ~次につなげる値決め
持ち帰り弁当のほっともっとが、「から揚弁当」や「ロースかつ丼」など6つの商品を、最大100円引きの特別価格で購入できるキャンペーンを、2月18日から27日まで、“10日間限定”で実施している。
ホームページによると、対象は6商品で、「から揚弁当」は390円が340円、「特から揚弁当」は490円が440円、「チキンバスケット」は590円が540円、「ロースかつ丼」は490円が390円、「ロースカツカレー」は590円が490円、「から揚カレー」は590円が490円、ということだ。
このラインアップをみると、サイトにある通りの、「人気の看板メニュー」ばかり。
なぜこの時期に、あえて値下げをしてきたのか?単純に「値引き」「値下げ」をすると、ブランドの見た目の価値が損なわれるし、なにより営業利益も下がる。
安くすれば単純に多く売れる、というものでもない。
そこで今回は、このほっともっとの値下げを事例に、価格設定について考えてみたい。
今回の値下げの背景には、長引く新常態の中、特に巣ごもりでの「宅内での食事」が増え、それによって競争の激化したことがあげられるだろう。
そこに、持ち帰り弁当の業界内のオリジン弁当やほっかほか亭との競争に加えて、成城石井や紀伊國屋など、オリジナルでちょっと高めの弁当も人気だ。
さらにコンビニも弁当を充実させてきているし、いうまでもなく、ウーバーイーツや出前館などの、デリバリーも今では一般的だ。
さらに、家で食事をするということは、出来合いを買うというだけではなく、料理をする、という人も増えている。
ほっともっとの顧客の立場からすると、必ずしも「弁当を買う」と決めているのではなく、「家で食事をする」から「どこにしようか」と迷っている人たちなのだ。
このような人たちを数多くの事業者が、“これまでとは違う”やり方で、「取り合っている」という構図になってきている。
いつの時代もライバルは常識の外から来る。特にここ数年はその傾向が顕著だ。
そんな中で、ほっともっとは期間限定で、看板商品を値下げしてきた。
それも、ざっくりと10~20%やすく販売する、という、期間限定とはいえ大きな値下げだ。
このような状況での期間限定の値下げ、ということになる。
一般的に、業界内の競争が激しくなり、さらに新規参入も増え、新しいビジネスモデルの企業も参入してくる、という場合に、価格を変更することは少なくない。
多くの場合は、限定の期間中に売り上げを稼ぎたい、という販売促進の意図ではなく、価格を50円から100円下げることによって、どれくらいの動きがあるのか、「価格弾力性」があるか、ということを見てみたい、と考えることが多い。
いわゆる“テストマーケティング”だ。
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