精神疾患者から見るウクライナ侵攻。「強要された」ロシアへのシンパシー

 

彼・彼女らはこう考える。ロシアのプーチン大統領の立場からするとウクライナという「自分の領土」が、自分を敵対する勢力の思想に染められ、武装させられれば、対抗したくもなるのであろう、と。

このメンタリティは社会の仕組みを強要される疾患者に近いかもしれない。「常軌を逸した」プーチン大統領と米国や北大西洋条約機構(NATO)諸国が非難する中で、誰が中立に判断し和解への道を示せるのだろうか。

ウクライナを舞台にした場合には、米国は同盟国ではないし、NATO加盟国でもないから大義はない。

国連安全保障理事会も理事国にロシアと中国が入っていることで非難決議の可能性は低い。

この中でメディアでの威嚇と正当性を確保するデマや主張に私たちは翻弄されていて、何が真実なのかは実際にはわからない。

その中で、精神疾患者がプーチン大統領に感じるシンパシーはいわば、この物語の本質をとらえているような気もする。

もちろん、私は侵攻を正当化するつもりはない。

冷戦が終わり米ロの関係が改善したはずなのに、いつの間にかコミュニケーションのすれ違いはここまで来てしまったと悲嘆にくれ、そして戦争を憎むのは変わらない。

戦争になれば人は死ぬ。戦闘に加わっていない人、子供も死ぬ。築き上げてきたものが破壊され、人間がぼろ雑巾のようになっていくのを見るのはもううんざりである。

私は中学校や高校に訪問しての公開授業の際に、ソーシャルメディアで拡散されたレバノン内戦で空爆される街角を街の中からの視点で撮影した映像を紹介し、戦場のリアリティを伝えた。

日本のマスメディアはもちらん、「日本語」に守られた日本のソーシャルメディア上では上がってこない、それら海外の映像は悲惨である。

あの時見せた生徒の反応は純粋で、戦争を考えるきっかけになったと思う。

こんな体験も戦争が始まってしまえば嘆くだけなのかもしれないが、その時の気持ちを結集できないだろうか。

現実を深く見極めながらメディアと接したい。戦争の中にあるからこそ、平和を真剣に考えたいと思う。

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image by: Seneline / Shutterstock.com

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