吉村知事を露骨にヨイショ。民主主義を脅かす「吉本興業」と維新の浅からぬ関係

 

なぜ維新の責任は問われない?

日本維新の会が、大阪に大きなダメージを与え続けているにも関わらず、支持率が高いのは、何よりもメディアの責任だといえます。

維新の会の創設者の橋下徹氏をはじめ、大阪府の吉村知事などは、テレビの出演回数が異常に多いです。そして、各テレビ局は、彼らに対して好意的な内容の放送ばかりを繰り返します。維新を取り巻く報道状況は、異常なのです。

なぜこのようなことになっているのでしょうか?そもそも維新の会の創設者である橋下徹氏は、テレビタレントとして人気を博し、政界に進出した人です。弁護士という堅い職業ながら茶髪でポップな雰囲気、いい具合に世間の意表をつく発言は、テレビタレントとして天職のようなものだったのかもしれません。筆者も彼は、テレビタレントとしては価値のある人だと思います。もちろんテレビタレントして価値があることと、政治家としての能力はまったく関係しません。

その橋下徹氏からすれば、メディアをうまく利用するのは、お手のものなわけです。というより、メディアをうまく利用することで、のし上がってきた人であり、維新の会の運営においても、メディアを上手に使うというのが最大の武器だったわけです。

維新の会は、当然のことながら、メディアを利用することに力を注いでいます。それは橋下氏が政界を離れてからも同様です。

大阪市と吉本興業は、平成29年に「包括連携協定」を結んでいます。この包括連携協定は、形式的には

  • 地域の活性化に関すること
  • 健康・福祉に関すること
  • 子育て・教育に関すること
  • 市民活動の推進に関すること
  • その他協議により必要と認められること

を大阪市と吉本興業が連携して行うということになっています。

が、実際は、大阪市の広報などに吉本興業を出演させたり、吉本興業と大阪市が共同で公演を開催したりするということです。具体的に言えば、大阪市の24区にそれぞれ一組ずつの吉本芸人を配置し、区の催し物などことあるごとにその芸人を起用したり、大阪に関する創作落語の公演を行ったり、各種の広報に吉本芸人を起用したりということです。

もちろん、吉本興業の芸人にはその都度、ギャラが発生します。そのうえ、市の広報に登場することで、吉本芸人たちの「顔を売る」ということにもなります。だからギャラ以上のメリットがあり吉本興業としては、ウハウハなことです。

また吉本興業は大阪府から万博記念公園の管理者に指定されています。2018年から10年間の契約で、大阪府は無料で万博記念公園を吉本興業に管理させているということです。

しかも大阪では、2025年に万博が予定されており、これは維新の会にとっての目玉の政策でもあるのですが、吉本興業はなんとパビリオンの枠をもらえることになっています。万博のパビリオンを芸能事務所が出すなどということは、非常に異例のことです。また今後万博関連で様々な催しが行われることになります。それらの催し物の多くに吉本芸人たちの出演機会があるわけで、吉本興業にとっては、今後も「美味しい状況」が続くというわけです。

維新の会の党利だけを考えた場合、吉本興業との提携は非常に賢い戦略だといえます。国や地方自治体が、広報活動にタレントを起用することは珍しくなく、大阪市、大阪府と吉本興業の連携は、法的な問題はありません。しかし維新の会の党利には、なっても国民の側に大きな害毒となっているのです。維新の会の批判的な情報がなかなか世間に知らされないという大きな災いを招いているのです。

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