一部の「勝ち組」が眩しすぎる。コロナで増えた“孤独”な20代

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先進7カ国で20代の死因の1位が自殺なのは日本だけ。警察庁の資料によれば2020年には20代の自殺率が大きく上昇し、昨年は年代別で50代に次ぐ2番目になってしまいました。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で健康社会学者の河合薫さんは、20代の4割以上の人が孤独感に苛まれているとの調査結果を紹介。コロナ禍により人との触れ合いが減るなかで、大人たちはほんの少しでも関わった若者に対して伝えるべきメッセージがあると訴えています。

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「光」なき国の若者たち

NPO法人「あなたのいばしょ」が、早稲田大学の上田路子准教授と共同で行った調査で、20代の4割が「孤独感」に苛まれているという、看過できない実態が明らかになりました(2022年2月、全国の男女約3000人対象)。

具体的には、

  • 37.3%の人々が孤独感を抱えていた
  • 一番高いのは20代で42.7%と2人に1人。次いで30代の41.6%。一番低かったの60歳以上で、23.7%だった
  • ひとり暮らしの人や配偶者がいない人は、同居者(配偶者含む)やパートナーがいる人よりも孤独感が高かった
  • 世帯年収が下がるにつれ、孤独感を持つ人の割合が高まる傾向があった
  • 「コロナ前より暮らし向きが悪化した」と答えた人の5割が、孤独を感じていた

…といったことがわかりました。

本来、20代といえば「友達一番!」のゴールデンエイジです。学生時代の仲間に職場の同僚が加わり、彼氏、彼女など、友情と愛情に悩み、傷つき、至極の幸福感を経験し、他者と関わる中で「自己」を磨いていくことができる貴重なお年頃です。

なのに、その20代が「孤独」だと。若者の孤独問題は、数年前から関心が高まっていましたが、コロナ禍が追いうちをかけてしまったのでしょう。

なにせ、頑張って勉強して、志望大学に入ったのに、コロナで2年間台無しになってしまったのです。頑張って就職活動して、やっと内定をもらっていたのに、入社式もなければ、同期で飲みにいくこともなくなってしまいました。

仕事でわからないことがあって、「どうした?」と声をかけてくれる上司もいなければ、「ありがとう」と微笑んでくれるお客さんと接する機会も制限され…。挙げ句の果てに、SNSでは一部の「勝ち組20代」たちが、積極的に活動し、意見を発信し、「今の若い人たちはすごいね~」と世間から持ち上げられている。

大人でさえ、リモート越しのつながりでは心が温まらず人恋しいのに、「人間関係が全て」の若者には、あまりに酷。友人関係に悩んだり、友達とぶつかったり、恋をしたり、恋に破れたりすることで、心の動きの機微を学び、共感する感情や自立する心が育まれるのに。その全てが、コロナに“妨害”されてしまったのです。

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