目指すは韓国料理版の町中華。養老乃瀧が新業態で打って出る挑戦

 

“町中華”の大衆韓国料理版を想定する

「既に“町中華”という存在があるが、日本の大衆韓国料理はこのような世界になっていくだろう。そこで『韓激』の展開にあたって“和コリアン”という言葉をつくった。韓国そのままの味付けではなく日本のテーストを取り入れてメニューを定着させていく」(谷酒氏)

月島店の店内。16時オープンでディナー帯に近づくと予約客の来店が多くなる(筆者撮影)

月島店の店内。16時オープンでディナー帯に近づくと予約客の来店が多くなる(筆者撮影)

「韓激」が特にアピールしたいメニューは前述した「韓激 おすすめ」の6品。これらをはじめとしたメニューの多くは店内調理を行っている。この丁寧なメニューづくりはお客にダイレクトに伝わる。これらの中で人気ナンバーワンは「ケランチム」(韓国風茶碗蒸し)。小鍋に出汁と魚介類の具材を入れ、卵3個を入れて直火でボリュームたっぷりの茶碗蒸しの状態に整えていくというものだ。現状ラインアップしているメニューの中でも最も手間暇がかかっているという。

現状コロナ禍にあって、「韓激」は養老乃瀧の業態の中でも立ち上がりは早いという。それは大衆居酒屋の空間の中に、前述したとおりの新しい客層を呼び寄せる力を持っているからであろう。それは養老乃瀧が定義するように「韓国料理」が「和コリアン」として定着しつつある証ではないか。

image by: 千葉哲幸
協力:養老乃瀧株式会社

千葉哲幸

プロフィール:千葉哲幸(ちば・てつゆき)フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

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