誰でもなれる「週末作家」。文章力は要らない、出版社が求める別の能力とは?

2022.04.28
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在京ラジオ局の社員というサラリーマン生活のかたわら、これまで50冊近く著書を出してきた筆者。周りからは、「私も本の原稿を書いてみたい」といった相談を受けることが多い。また、講師として「出版セミナー」などに顔を出すと、同じように「書いてみたい」という方から質問攻めにされる。そこで、今回は、「どうすれば本が出せるのか」、拙い経験則と出版関係者への取材からまとめてみた。

清水克彦(しみず・かつひこ)プロフィール
政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師。愛媛県今治市生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。京都大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得期退学。文化放送入社後、政治・外信記者。アメリカ留学後、キャスター、報道ワイド番組チーフプロデューサーなどを歴任。現在は報道デスク兼解説委員のかたわら執筆、講演活動もこなす。著書はベストセラー『頭のいい子が育つパパの習慣』(PHP文庫)、『台湾有事』『安倍政権の罠』(ともに平凡社新書)、『ラジオ記者、走る』(新潮新書)、『人生、降りた方がことがいっぱいある』(青春出版社)、『40代あなたが今やるべきこと』(中経の文庫)、『ゼレンスキー勇気の言葉100』(ワニブックス)ほか多数。

誰でも「週末作家」になれる!

どのような職種の方でも、10年、20年と経験を重ねる間に、本の1冊や2冊くらいは書ける材料が溜まってくるものだ。

仕事に限らず、旅行、グルメ、園芸、陶芸、絵画、それにスポーツ、健康といった趣味や特技、また、医療や介護、子育てなどを通じて得た経験などからも、1冊の本にまとめるだけの材料は集まるはずだ。

かく言う私も、浅学の人間ながら、「週末作家」生活を始めて約20年になる。報道記者という経験に、独自の取材や調査を加え、政治・国際情勢、教育・生き方をテーマにした著書を出版してきた。

「自分には文才もなければ時間もない」という方もいるだろうが、書く気さえあれば、誰だって「週末作家」になれるのだ。

書きたい人には追い風が吹いている!

まず、記事で使いたいデータのほとんどはネット検索で見つけられる時代になったことだ。また、「google forms」などを使えば簡単に世論調査もできるようになったことが大きい。

2つ目は、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として進められてきたテレワークの拡がりだ。企業の規模や職種によって温度差はあるものの、在宅勤務やリモートワークの定着によって、上司や同僚から監視されない自由な時間が増えた。裁量労働制など働き方改革とも相まって、空き時間を作りやすくなった。

3つ目は、企業の間で副業や兼業を推進する動きが拡がってきたという点だ。厚生労働省に促される形で、副業や兼業を認める企業も増えてきた。

つまり、これらの動きによって、「本を書く」「ネット記事をアップする」→「収入(印税)を得る」という行為が、誰はばかることなく安心してできる環境が整いつつあるのだ。

「週末作家」にはこんなメリットが!

では、私が「週末作家」になって得たメリットを列記しよう。

  • 臨時収入が得られる。
  • モノの見方が細かく丁寧になる。メモを取ったりするようになる。
  • 執筆時間を確保するため、時間の使い方が上手になる。だらだらする時間が減る。
  • 曖昧だった知識や記憶が整理される。
  • 類書やデータ、論文などの先行研究にも目を通すため、知識や気づきが増える。
  • 本が完成すれば名刺代わりになる。その分野に詳しいという証拠になり一目置かれる。

一方、私が体験したデメリットも付記しておく。

  • 副業が認められていない時代は、上司に呼ばれ「次にやったら訓戒だからな」と怒られた。
  • 「あの人、印税で豪華な生活をしている」と陰口を叩かれた。
  • 著書の売れ行きやネット記事の反応が気になる。
  • ネット上で批判にさらされる。(もちろん評価もされる)
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