誰でもなれる「週末作家」。文章力は要らない、出版社が求める別の能力とは?

2022.04.28
 

出版社はどうやって書き手を探しているのか

実際に大手出版社の編集者に取材したところ、以下のような答えが得られた。

  • 「オーソドックスな実用書の場合、都合よく書いてくれる筆者を選びます。新しい書き手を求める場合は、SNSのフォロワーが多い人に声をかけたりします」(学研プラス)
  • 「持ち込み、紹介、一応フラットに見ます。実力があれば可能性はあります」(光文社)
  • 「SNSをチェックしフォロワー数や切り口の斬新さを見ます。持ち込みも目を通しますが、SNSで発信し目に留まるようにしたほうが近道かと思います」(小学館)
  • 「著者探しでYouTubeばかり見ています。書き手に求めるのはテーマに関しての十分な実績と知見、オリジナリティ。できればその世界でコアなファンがいること」(日経BP)
  • 「既存の著者に紹介してもらったり、医師や研究者などオリジナリティが高い研究をされている人に依頼したりします」(PHP)
  • 「出版セミナーに参加している人の企画書を採用する出版社もあると聞いていますが、私は、他社さんの本を読んだり、いろいろな場所に顔を出したりして書いてもらえそうな人を探しています」(朝日新聞出版)

こうした声を聞くと、「やはりSNSなんだな」と思ってしまう。ツイッターでフォロワー数を増やす、YouTubeを始めてみる、といったことも必要かもしれない。

かく言う私も、何冊かは、私のブログや担当番組のツイッターを見て、編集者から声をかけてもらったところから始まっている。

私に本が出せるのか?の指標

では、皆さんが何かに精通していて、本を出したいと考えた場合、それが形になるかどうかの指標を述べておきたい。

  • 1章から5章まで大枠を決める
  • それぞれの章で10項目、書きたいことを並べられる

この2つができれば、本は書ける。

たとえば、「大のお城好き」だったとして、第1章、第2章…とテーマを分け、それぞれ10項目、合計50項目をリストアップできれば本は書ける。

各項目で4ページ書くとして200ページ(まえがき、あとがき等を含め220ページ前後)の本になるということだ。

てこを動かすのと同じで、本を出そうとすると最初は少し苦労するかもしれない。しかし、転がり始めれば案外難しくない。

また、本は書くことで知見が深まり、出したことで名刺代わりにもなる。是非あなたも「週末作家」を目指してほしい。

清水克彦(しみず・かつひこ)プロフィール
政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師。愛媛県今治市生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。京都大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得期退学。文化放送入社後、政治・外信記者。アメリカ留学後、キャスター、報道ワイド番組チーフプロデューサーなどを歴任。現在は報道デスク兼解説委員のかたわら執筆、講演活動もこなす。著書はベストセラー『頭のいい子が育つパパの習慣』(PHP文庫)、『台湾有事』『安倍政権の罠』(ともに平凡社新書)、『ラジオ記者、走る』(新潮新書)、『人生、降りた方がことがいっぱいある』(青春出版社)、『40代あなたが今やるべきこと』(中経の文庫)、『ゼレンスキー勇気の言葉100』(ワニブックス)ほか多数。

image by :  shutterstock

清水克彦

print
いま読まれてます

  • 誰でもなれる「週末作家」。文章力は要らない、出版社が求める別の能力とは?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け