プーチンが放つ核の標的は「東京」か。日本を“敵国認定”した独裁者の大暴走

 

さて、憶測といえば、今、メディアを賑わせているのは、5月9日のロシア(ソビエト連邦)の対ナチス戦勝記念日が、何かのXデーになるのではないかとの報道ですが、実際にはどうなのでしょうか。

1つの可能性は、ロシアがこの日までにウクライナ東部(ドンバス地方)を制圧し、マリウポリも掌握して、ウクライナ戦争の勝利を内外にアピールするというものです。これについては、確かに最近になってロシア軍による攻勢が激化しているのですが、その日までの“制圧”は困難になってきていると思われます。

別の可能性としては、英国の情報筋(特に国防省)が語りだした情報ですが、【5月9日の式典で、プーチン大統領が対ウクライナ宣戦布告を行う】というものです。

これはウクライナ全土に対する宣戦布告なのか、それともウクライナの後ろ盾になっている諸国(特にNATO)に対する宣戦布告となるのか、意見が分かれています。

前者だとしたら、これまでの2か月以上の戦況と何が違うのかという疑問が湧きますが、同時にウクライナに対する攻撃のレベルが上げられるというようにも解釈できます。言い換えると、使用する武器のレベルが上がることを意味し、それがWMD(大量破壊兵器)の使用につながるのではないかとの意味です。

これについては、ロシア側からの情報が取れていないのですが、ウクライナ側および周辺国の情報では、「これまで以上の被害と犠牲を覚悟しなくてはならない」という内容が多く届けられてきています。

それは大量破壊兵器の使用まで覚悟した内容なのか、それとも通常兵器のレベルが上げられるのか、意見が分かれていますが、どちらにせよ、ロシアによるウクライナへの攻撃がレベルアップされ、さらに激しさを増すだろうという見通しを表していると解釈できます。

そして、宣戦布告を行うことで、ロシアサイドでは国民総動員がかけられ、ウクライナ侵攻の目的が、【ロシア人の保護のための派兵】から【ウクライナ全土の掌握によるロシアの国家安全保障の確保】にすり替えられることを意味することになります。

大いにあり得ることですが、後者の可能性も消せない兆候も出てきています。

それは5月4日にショイグ国防相が国家安全保障会議で行った発言にある「NATOによるウクライナへの兵器の運搬は、明らかなロシアへの敵対行為とみなし、それへの報復・攻撃は正当化される」という内容です。

アメリカや欧州各国、そして日本からウクライナに提供される武器弾薬を含む支援の拡大と、レベルアップがロシア側を刺激し、さらにロシアの国家安全保障が脅かされているというイメージが強まっている表れとも理解できます。

そしてそれが、以前よりプーチン大統領などが繰り返していた「ロシアの国家安全保障を脅かそうとする勢力は、予想以上の対価を支払うことになる」という脅しに繋がり、ショイグ国防相の発言を受けて、それが実行に移されることを示したと解釈できます。

もしポーランドに集結しているNATO勢力に攻撃が及んだり、すでに実行されているようにモルドバへの攻撃が激化したりした場合、NATO軍はどのように対応するのでしょうか。

プーチン大統領が宣戦布告を行う相手がウクライナとその友人たちだとしたら、NATOとしては宣戦布告を受けて何らかの対応を迫られることになります。自らに攻撃が及ばない限りは、ロシア側からの脅しはスルーするかもしれませんが、もし偶発的にでも被害を受けた場合には、NATO側の自制の限界がやってくることになるでしょう。

そして仮にNATOおよびウクライナがロシア領内に向けて攻撃をかけるような事態に発展したら、それはもう戦争の“国際化”に繋がり、それはすなわち第3次世界大戦の勃発と言えるかもしれません。もちろん、そんなことは望みませんが。

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