レジ袋有料化も意味無し?空気中にも漂うマイクロプラスチックの恐怖

 

ちなみに、人類がプラスチックを量産し始めた1950年代は、世界の生産量は年間に200万トンだった。だけど、現在は年間に3億8,000万トン、当初の200倍となっている。もひとつちなみに、これまでに人類が製造したプラスチックの総量は約83億トンで、このうち76%に当たる約63億トンが廃棄された。そして、この廃棄された約63億トンのうち、リサイクルされたのはわずか9%だけ、焼却処分されたのはわずか12%だけ、残りの79%に当たる約50億トンのプラスチックごみは、すべて埋め立て処分か海洋投棄、つまり、自然環境へ丸投げされた。これが、現在のマイクロプラスチックの元となっている。

世界のプラスチックの生産量は、今も毎年5%ずつ増加し続けている。そして、このまま増産し続けると、2050年までに累計330億トンのプラスチックが生産され、このうち少なくとも120億トンが埋め立て処分や海洋投棄など、自然環境へ廃棄されることになると試算されている。つまり、このまま行くと、あと30年も経たずに、これまでに埋め立て処分や海洋投棄された総量の2倍以上のプラスチックごみが、新たに自然環境へ廃棄されることになるわけだ。

…そんなわけで、世界でプラスチックごみの海洋汚染の問題が指摘され始めたのは、今から18年も前の2004年頃だ。だけど、当初は、ウミガメやイルカなどに切れて流された定置網などの漁具が絡まって命を奪ったり、クジラがイワシの群れなどを飲み込む時に海を漂うレジ袋などのプラスチックごみも一緒に飲み込んでしまったり、水鳥の脚やくちばしに釣り人が捨てて行った釣り糸が絡まって飛べなくなったりエサを獲れなくなったり、こうした「大きなプラスチックごみ」が問題視されていた。

そして、2008年頃からはマイクロプラスチックにも目が向けられるようになったけど、それでも環境問題としては、やっぱり「大きなプラスチックごみ」を少しでも減らすことが最優先課題とされ続けていた。そして、その潮目が大きく変わったのが、今から4年前の2018年だった。この年の9月、10月、11月と、マイクロプラスチックに関する大きな研究論文が3つ、立て続けに発表され、そのどれもが、あたし的には本日2回目の「マジですかーーーー!!」ってレベルの大事件だったからだ。

まず、その先陣を切って2018年9月に発表されたのが「市販のペットボトル入りミネラルウォーターの大半にマイクロプラスチックが混入していた」という驚愕の報告だ。ニューヨーク州立大学フリードニア校でマイクロプラスチック問題に取り組むダン・モリソン教授の研究チームが、アメリカを始め世界9カ国で製造され、世界各国に流通している国際ブランドのペットボトル入りミネラルウォーター11銘柄、計259本を検査したところ、このうち93%に当たる240本からマイクロプラスチックが検出されたのだ。

混入していたマイクロプラスチックの数は、ボトル1本につき数百個から1万個超とバラつきがあり、同じ箱に入っていた同じ銘柄のボトルでも、多いものと少ないものに極端な差があったという。また、混入していたマイクロプラスチックの大きさは、6.5~100ミクロン超。100ミクロンと言えば髪の毛の太さと同じくらいなので、肉眼でも見える大きさだ。モリソン教授によると、肉眼でも見える100ミクロン超のマイクロプラスチックは、その50%以上がポリプロピレンだったという。これはボトルのキャップと同じ材質なので、製造過程でキャップの破片などが混入したケースも考えられる、とのこと。

だけど、ナイルレッド染色法というマイクロプラスチック分析技術の第一人者でもある英イースト・アングリア大学のアンドルー・メイズ上級講師は「これまでも、水道水やビール、その他多くの飲料や食品からマイクロプラスチックが検出されたという報告があるが、ミネラルウォーターをここまで大規模に調査したのは、私の知る限り初めてだ」と述べ、全体の93%という混入率の高さについては「水源からの混入」を指摘、1本当た1万個超という異常な混入量については「一部のブランドは濾過せずにボトル詰めしているのかもしれない」と推察した。

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