先の大戦によって「国威発揚」のイメージがつき、何かと議論の的になっている日本の国歌「君が代」。しかし、本来は「古今和歌集」から作られた愛の歌であり、戦争の歌ではなかったという事実があります。メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、この日本国歌「君が代」について、米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバートさんと“博多の歴女“として活躍される白駒妃登美さんが対談した内容の一部をご紹介しています。
「君が代」と、他の国歌との大きな違いとは
いまもなお軍国主義の象徴のように思われている「君が代」。しかし、その原歌は『古今和歌集』にある、「愛するあなた、あなたの命がいつまでも長く続きますように。そしてあなたがずっと幸せでありますように」と願う“愛の歌”です。
『致知』最新号(7月号)では、「君が代」に込められた、そんな先人の思いを、米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバートさんと“博多の歴女“として活躍される白駒妃登美さんにお話し合いいただきました。
「君が代」の独創性を伝えるお話の一部を本日はお届けします。
ギルバート 「世界の国歌を見ると、基本的に賛美歌か軍歌なんです。どこも似たり寄ったりで独創性というものはありません」
白駒 「確かにそうですね」
ギルバート 「ところが、日本の『君が代』は歌詞として見ても曲の美しさからしても例外です。その証拠に1903年にドイツで行われた『世界国歌コンクール』で一等を受賞していますからね。
少し専門的な話になりますが、『君が代』の曲調は『ペンタトニック・スケール』と呼ばれます。1オクターブにある7つの音階のうち5つしか使わない。しかも『君が代』はハ長調ですから、始まりも終わりも『ド』であるべきなのに『レ』で始まり『レ』で終わっている。だから我われが聞いていると、何か曲が終わっていないような感覚を覚えるんです」
白駒 「ケントさんのいまのお話、納得できます。でも、それが『君が代』の素晴らしさだし、終わりがないという曲調は永続性にも繋がっている気がします。
例えば、日本神話の『古事記』などもそうで、始まりと終わりが明確ではありませんよね。これは日本の文化の大きな特徴だと思います。
いま『天皇制』『皇室制度』という言葉をよく耳にしますが、この表現は適切ではありません。『制度』は誰かがつくったものであり、誰かの手で終わらせることができます。でも、皇室は誰かがつくったものではないんですね。皇室は常に国民と共にある、始まりも終わりもない。これこそが皇室の姿なのではないでしょうか。
ギルバート 「おっしゃる通りです」
白駒 「作曲家の団伊玖磨さんが素晴らしい国歌の三つの条件ということをおっしゃっていて、一つ目が短いこと、二つ目がエスニックであること(民族性が表れていること)、そして三つ目が好戦的でないことだというんです。
団さんが提唱される素晴らしい国歌の条件が『君が代』にはすべて揃そろっていることは大変興味深いことですし、私たち日本人の誇りですね」
image by : Namazu-tron, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
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