バイデン訪日後に急変。米国がウクライナ援助を“様子見モード”に替えた裏事情

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2月24日の開戦からついに100日を超えてしまったウクライナ戦争。さらなる長期化が予想される状況に、各国の当紛争を巡る対応にも温度差が現れつつあるようです。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、米英独仏伊、そしてトルコといった国々の思惑を解説。中でも「プーチン政権維持」を容認するほどまでに、バイデン大統領が大きな方向転換を見せた事情を分析・詳説しています。

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移ろいはじめた各国の思惑―ウクライナ紛争と国際情勢

「プーチン大統領がモスクワに留まることを容認する」
「アメリカがウクライナに供与する武器がロシア領内に対して用いられることはない」

今週に入ってバイデン米大統領が突如として打ち出した方針に驚かれた方も多いのではないでしょうか?

根っからのロシアおよびプーチン大統領嫌いで有名なバイデン大統領ですが、この変心とも捉えられる発言に込められた意図はどういったものなのでしょうか。

東京から帰国してから、台湾問題を再度クローズアップさせたり、北朝鮮のミサイル・核開発問題に外交的なエネルギーを割くようになったりと、アメリカ外交安全保障政策の視点の拡大傾向がみられるようになったように思われます。

例えるならば、【ロシア・ウクライナ問題と、中国・台湾問題の両にらみ体制の発動】でしょうか。

2月24日にロシアがウクライナ全土に侵攻してから最近まで、欧州各国と連帯を強め、NATOという枠組みを軸にロシア対応をし、外交的なリソースも一気にそちらに集中投入したかのように振舞い、アジアシフトやアフリカ諸国へのコミットメント増大傾向が一旦後退したように見えました。

ただ大方の予想に反してウクライナ“戦争”が長期化の様相を見せると、We stand with Ukrainianという姿勢はアピールし、ロシア嫌いが多いと言われる議会上下院も非常に太っ腹な支援を次々と採択し、ウクライナに提供する武器弾薬のレベルもどんどんアップグレードされ、ロシアとの直接戦争というレッドラインを超える手前まで前のめりになっているように見えました。

しかし、このところウクライナ戦争の長期化に言及する高官の言葉が多く、もしかしたら戦略・アプローチをここにきて変更したのではないかと思われます。

ウクライナ・ゼレンスキー大統領などからの要請に対して、これまでは驚くほど気前よく応えてきたように見えましたが、先週号でも触れたとおり、アメリカ政府内でもウクライナ政府からの“くれくれ”攻撃にうんざりし、いくら支援してもゼレンスキー大統領やクレバ外相からは「まだまだ足りない」と本気度を疑うような非難をされることに対して、徐々に政府内での“ウクライナ離れ”が始まっているように思われます。

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そこにアメリカ国内の人権擁護団体から、ウクライナに対してアメリカなどが供与している武器弾薬がロシアの一般人の殺害にも用いられているとの疑いが投げかけられ、おまけにロシアへの攻撃用にも用いられているとの指摘が寄せられていることに、人権第一を旗印に掲げるバイデン政権としては、イケイケどんどんな支援傾向に少しブレーキがかかったように見えます。

いろいろと聞いたところでは、ウクライナ軍が北部ハルキウ周辺で陣地を奪還し、一部ロシア領内に雪崩れ込んで攻撃を加えたとのニュースが入ってきたことを境に、アメリカ政府内で対ウクライナ軍事支援の方向性と規模に疑問符が投げかけられ始めたとのことです。

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