バイデン訪日後に急変。米国がウクライナ援助を“様子見モード”に替えた裏事情

 

最近の例では、「北朝鮮による度重なるミサイル発射と核実験再開の動きが、国連安全保障理事会決議違反の疑いが高く、さらなる制裁が必要」として、5月の議長国・米国が提出した決議案を、ロシアと共に拒否権行使で葬り去っています。

その際、ロシアの国連大使は、自国に対する国際社会からの制裁にも鑑みて、「制裁は決してポジティブな結果を導かない」とした半面、中国の張軍大使は「このような状況を作り出したのは、アメリカの誤った政策であり、その失敗の責任を国際的ないじめという形で北朝鮮に押し付けるべきではない」と、これまでにないほど踏み込んだアメリカ批判を、国連安全保障理事会の場でやってのけ、中国は有事にも真っ向から対峙する姿勢を十分にアピールしました。

この国連安保理の分裂は、同時に現在の国際社会の完全なる分断の縮図となっており、その悪影響はいたるところに見られます。

例えば、以前、私もお話ししたエチオピア国内でongoingなティグレイ紛争に対して、国連は何ら効果的な介入が出来ていません。

エチオピアに大きな経済的なstakeを有する中国は、状況の悪化を懸念するものの、国際的に問題とされているのが人権侵害であることで、それが自国の新疆ウイグル自治区問題に跳ね返ることを恐れ、安保理での“意見聴取と非公開議論”は行っても、安保理決議の発出には頑なに反対します。このような外交ゲームの裏で、エチオピア政府軍による対ティグレイ人虐殺が進行しています。

話がいろいろなところに飛んでしまいましたが、2月24日にスタートしたロシアによるウクライナ侵攻から早くも100日ほどが経とうとしていますが、最近になって国際情勢の動きにも変化が見られるようになってきました。

Save UkraineやStand with Ukraineという大義に集って国際協調を復興させようとする波は過ぎ、各国の政治日程も落ち着くにつれ、じわじわと自国民・自国経済などに関心がシフトしてきています。

日本も襲う食糧危機の懸念と物価の上昇は、コロナを克服しそうにある世界経済に再度大きな冷や水をかける恐れがあり、これから国際経済がスランプに陥ることも懸念されています。

そのような中、ずるずると長期化し、多くの犠牲者を出すとともに、その悪影響の波が世界中に押し寄せているウクライナ戦争の終わりが見えない今、各国の外交的・政策的な思惑は変わり始め、その影響が加速度的に国際社会を襲い始めています。

非常に複雑に絡み合う国際情勢の“意図”。さて、どのように解きほぐしていくべきでしょうか?

以上、国際情勢の裏側でした。

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