東部地域で激しい攻防が行われるなど、いまだに出口が見えないロシアによるウクライナへの軍事侵攻。数年後まで長引くとの観測もあるなか、どのような展開を迎えていくのでしょうか。メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、政治学者の中西輝政さんとジャーナリストの櫻井よしこさんが、この戦争がたどるシナリオについて対談しています。
ロシア・ウクライナ戦争、今後のシナリオを読む
まだ終わりの見えないロシア・ウクライナ戦争。最新号「これでいいのか」では、憂国の論客、中西輝政さんと櫻井よしこさんに最新情勢を交えつつ、今後、戦争が辿るシナリオと日本興国への道筋を語り合っていただきました。
●最新号「これでいいのか」には、中西さんと櫻井さんの憂国対談を掲載。詳細はこちら
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(中西)
読者の方々が本号を手に取られる頃には事態がもっと進展していると思いますけれども、今後の展開として4つのシナリオが考えられると私は予測しています。
第一は、早期に停戦合意が成立する。これはロシアの侵略責任を戦争犯罪として追及するという問題とは別に、とにかくまず停戦をして、ウクライナの一般市民に対するロシア軍の非人道的な軍事行動を一日も早く止める手段を講じなければなりません。
ただ、停戦合意が結ばれたとしてもロシア軍は撤退しないでしょうから、一番うまくいって、紛争は泥沼化して停戦後の世界秩序も混迷の道を辿ることになるでしょう。
第二は、一つ目のシナリオより実現可能性が少し高いけれども、最も起こってしまっては困るシナリオです。それは核戦争であり、あるいはNATOとロシアとの間で衝突が起こり第三次世界大戦へと発展する。
いまのようにロシア軍のウクライナ戦線での作戦が進捗せず、敗北を繰り返す状況が続けば、戦術核(ミサイルの射程が500キロメートル以下のもの)から使用に踏み切る可能性は依然としてあります。
第三に、これも起こってほしくないシナリオですが、ウクライナが屈服してしまうこと。いまウクライナ東部から南部にかけての領土を奪おうという狙いがロシア軍の軍事行動から見て取れますが、国際社会も核の脅しに屈してロシアによるウクライナ領土の併合を黙認してしまう。これも「全面核戦争」の脅しをかけられたらあり得ないことはないと思います。
第四に、あえてもう一つ付け加えるとすれば、ロシアの敗北というシナリオですね。軍事的にロシアがウクライナとの一対一の戦争で敗北することは考えにくいのですが、ロシア国内でプーチン政権の足下がぐらつく可能性。これはもしかしたら私の希望的観測なのかもしれませんけれども、こういうシナリオもあると思います。
(櫻井)
私は今回の戦争について、日本が当事者だったらどうするだろうと考えながら比較して見ています。その観点で……
● この後も、お二人に世界情勢の趨勢、日本が進べき道について詳しく論じていただいています。対談の詳細はこちら
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