経産省が給付金不正受給者を“公開処刑”。HPで氏名と住所を公表、詐欺師の逃げ得は許さない

2022.06.20
by たいらひとし
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10億、2億などの巨額の不正受給詐欺が次々と発覚し、逮捕者が続出したコロナ禍の持続化給付金の不正受給。 6月9日時点ではまだ約7千件が未返還だったが、経済産業省が不正受給者1266者の名前と住所を公開したことで一気に自主返還が進み、17日時点で残り約150者を切るまでになったという。

給付金の不正受給をした“詐欺師”たちの氏名が明らかに

「不正受給は許さない」そうした強い決意の表れだろうか。経済産業省が「持続化給付金の不正受給者の認定及び公表について」としてリストを公表。

「中小企業庁から督促を受けるまでの間に、不正受給金額に加え、20%の加算金及び年率3%の延滞金の全額を納付しなかった不正受給認定者のみ、『不正受給認定者名』及び『所在地』を公表しています」と注意書きをした上で、詳細を明かしている。

「不正受給認定者」として氏名と所在地が記され、不正受給金額の数字が入っている。見るとそのほとんどが1,000,000円となっており、「確定申告書等の申請書類の偽造があった」と不正が認められた理由が記されていた。

被害総額約2億円と言われる元東京国税局職員らが関与した給付金詐欺らは、高校生や大学生をセミナーで勧誘したという。

起業や税金の知識が全くない情報弱者である若者を騙し、事業実績のある個人事業者や法人でないと取得資格がないところを「暗号資産に投資すれば個人事業主になれるので、給付金を申請できる」と説得した。同時期に国民全員に一律10万円が支給された「臨時特別給付金」 と同じように、申請したら誰でももらえる給付金だと誤解したようだ。

給付金を不正受給したのは詐欺グループだけではない。 実際に事業実績がある事業者や法人でも、各月の売上を偽って申請したり、売上減少がコロナの影響ではないことを知りながら申請したりする場合もある。また家賃支援給付金では、実際の家賃よりも高く偽って申請していた場合もあった。

下がった売上のデータの提出は1月分でよかったので、売上を 他の月に移動できる。申請は身分証明書や確定申告書など最低限の書類で済み、手続きは全てネットで完結した。 現金給付を急いで不正を追及するのを後回しにしたために、2年経った今頃になって不正が発覚している。

「不正受給」などという呼び名が良くない。立派な詐欺行為であり、これらは全て犯罪なのだ。経産省では引き続き、ホームページで自主返還を呼びかけている。

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「持続化給付金だけじゃない」次々と不正受給が発覚

コロナ禍では持続化給付金だけでなく、様々な給付金や助成金制度が設けられた。 従業員をかかえる事業者には雇用を守るために厚生労働省から「雇用調整助成金」と「緊急雇用安定助成金」が支給された。

雇用助成金不正受給の質が悪いのは、その雇用調整金が従業員にではなく、企業側が懐に入れてしまっているところだ。 雇用関係がないのに雇用関係があると偽ったり、休業手当を支払っていないのに支払っていると偽ったりなどが横行。

また実際には時短営業をしていないのに、営業してることにして時短要請協力金を不正受給するケースなどもあった。

どさくさに紛れて、あまり罪の意識なく受給しているケースが多いようだ。

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持続化給付金の不正受給において、事業者の名前と住所が経産省のサイトで公開されたことで、他の給付金や助成金が不正受給した場合も名前を公開される可能性が高くなってきた。 “逃げ得”は許されるはずがない。

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