解説
ここからは私の推測になります。
北朝鮮が今年になって発射したミサイルは17発に及びます。異常なハイペースです。
純粋な実験というよりも、誰かに「こちらを見ろ、相手にしろ」と泣き叫ぶ子供のように見えます。これは何を求めているのでしょうか?
まず訴えかけたい「相手」は誰なのかと考えました。
考えられるのは、米国、韓国、日本、そして中国です。もちろん、中国は北朝鮮側にたつ国ですが、ミサイルは方向を変えれば中国北京をターゲットにもできます。米国向けと見せかけて、実は、中国の一部の幹部に向けてのアピールであることも考えられます。
しかし、私は、このアピールはやはり米国に向けてだと思います。
金正恩の権力基盤がどれぐらい強いのかわかりません。ただ、だれの目からみても明らかな事があります。彼が3代目だという事です。国民も軍もみんな知っています。
ですから、国が共産党の立派な理念を唱えても、「結局、金家で世襲しているじゃないか」と思われます。金正恩が立派な指示を出しても「結局、3代目だろ」と思われます。
それをだれよりも感じているのは金正恩自身でしょう。自分がいないところで、国民や軍の幹部が、自分をどのように言っているか、痛いほどわかるはずです。
その意味でトランプとの会談は彼にとって面目躍如だったはずです。それは誇るべき彼の功績です。あのトランプと親しげに話す姿を国民や軍に見せつけることで、みんな彼に一目おかざるえなくなったのです。
実際にどのような話し合いをしたかなどは関係がありません。彼がトランプと二人だけで会談した。そしてその後、仲良く握手していた、という事だけが重要なのです。
それが彼の国内の権威、権力基盤の大きな支えになるのです。
しかし、そのトランプは退任して、バイデンが大統領になりました。トランプとの約束はもう無意味です。
だから、彼はもう一度、バイデンと会いたいのです。二人だけで密室で話をして、その後、みんなの見えるところで握手したいのです。それが彼の権力基盤を少なくともバイデン大統領の退任までは担保するでしょう。
それがために狂ったようにミサイルを打っているのです。
ところが、その彼に対してバイデン大統領は冷淡です。「ハロー、終わり」ですから。
今後もコロナの蔓延で食糧危機は深まり北朝鮮国民の不満はさらに高まるでしょう。
やっぱり3代目はダメだという批判も感じるでしょう。そのプレッシャーに耐え切れずに彼が一か八かの行動にでるかもしれません。そしてその時は近いように見えます。(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』6月19日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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