もっとも、岸田首相が「10増10減」を反故にするようなことは考えにくい。それが法律に基づいているからだ。
2014年の衆議院選挙で「一票の格差」が最大2.13倍となったことについて、15年11月に最高裁が違憲判決を下したため、衆院議長の諮問機関「衆院選挙制度に関する調査会」が、人口比を反映しやすいアダムズ方式という議席配分方法を2022年以降の衆院選から採用するよう答申し、それを受けて、この法律が立案された。
法を無視するようなことになれば、岸田首相に批判が集中し、内閣が揺らぐのは必至だ。党内論議がどうであれ、予定通り「10増10減」の公職選挙法改正案を秋の臨時国会に提出するハラだろう。
新区割り案が発表されて以降、安倍氏は「私はタッチしない」と報道陣に口を閉ざしているという。
安倍氏としては思い通りの区割り案である。だからこそ、この件については沈黙を貫くのが得策と考えているに違いない。自分だけよければいいのかと言われないように。
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