脱線ついでに記します。一昨年の大河ドラマ、『麒麟がくる』で三条西実枝(さんじょうにしさねき)が登場しました。
石橋蓮司さんが演じ、ドラマでは実澄(さねずみ)という役名でした。おそらく、実澄を名乗っていた時期もありましたので役名としたのでしょう。
実枝は優れた歌人で一子相伝の秘事、「古今伝授」の継承者でした。「古今伝授」とは、「古今和歌集」の解釈を中心に歌学および、それに関連する諸説を秘伝として弟子に伝えることです。
実枝は子息が幼かった為に弟子であった細川幽斎(藤孝)に伝授しました。幽斎は実枝の孫、実条(さねえだ)に伝えました。「古今伝授」は三條西家に戻ったのですね。
歌人、学者として優れた実枝でしたが政治家としても手腕を発揮しました。ドラマでは、朝廷をおびやかす信長の防波堤的な存在として描かれていました。朝廷を守ることを明智光秀に託して没します。
ところが、実際は実枝と信長の関係は決して悪くありませんでした。
それを示すのが実枝の大納言任官です。権ではない正式な大納言です。実枝の大納言任官は信長の推挙でした。信長の実枝への信頼と両者の親密さが窺えます。
権が炙り出した歴史の一コマですね。
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(メルマガ『歴史時代作家 早見俊の「地震が変えた日本史」』2022年6月24日号より一部抜粋。この続きはご登録の上、お楽しみください)
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