誰もクビにせず給料もカットせず。立命館大学の学食運営企業が下した大きな決断

 

産学官で事業に取り組む発想が膨らむ

学食がオープンして1年足らずで、これらのプロジェクトは動き始めたところ。現在、具体的に動いているのは「やさいバス」という試みで、同社ではこの研究を食マネジメント学部と一緒に取り組んでいる。

「やさいバス」とは農家がその日の朝に出荷した野菜を飲食店が入荷するというシンプルなもので、いま静岡県内で実際に行なわれている。農家が出荷するのは、例えば自分の近くの集会所、農協、道の駅。それを入荷する飲食店は、近くの銀行、小売店、ガソリンスタンドとか。それぞれの近くに野菜を運ぶトラックのバス停をつくり、農家も飲食店もそれぞれワンマイルずつ協力し合うことによって流通コストを抑えるという仕組みだ。

また、立命館大学とのプロジェクトがスタートしてから、滋賀県下の行政関係からのオファーが増えたという。例を挙げると、草津市の隣の守山市役所が新庁舎を建設中で(隈研吾建築都市設計事務所の設計)、その1階のカフェを同社が運営することになった。ここを舞台に立命館大学の学生と一緒に守山市の特産品を発案していくことになる。

街づくりの団体からの相談を受けて、今年1月長浜市内に「おさけところも」をオープン。ここは北国街道の入口に位置し、ツーリストと地元民が交わるハブに位置付けている。この6月2日伝統食の「皿そば 奥伊吹」を米原市内の道の駅にオープン。来年には道の駅の運営も計画されている。

施設の中に研究機関が研究内容を披露しているコーナーがあり、産学官の活動を担っている

施設の中に研究機関が研究内容を披露しているコーナーがあり、産学官の活動を担っている

また、同社から大学に持ちかけた企画の一つに、アウトドア用品のメーカーが広大なびわこ・くさつキャンパスの中で「なぜ外で食べるご飯がおいしいのか」という研究を大学と一緒に行う、というものがある。

さらに「キャンピングキャンパス」という取り組みもある。これは学生がキャンパス内でキャンプをして、自然と共に過ごすことによって思索を深めるとか。焚火を囲みながら語り合うことによって、他では知りえない人間性に触れるとか。アウトドアによってボーダレスな学びの機会を試みるようになっている。

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