ところで、紫式部と共に彰子の家庭教師を務めたのが和泉式部です。和泉式部は中古三十六歌仙に選ばれた歌人で、紫式部とはライバル関係にあったようです。紫式部は和泉式部に関して面白い評を残しています。
和泉式部は現代で言うところの、「肉食女子」であったのですが、そんな彼女を紫式部は、歌は上手だけどふしだらだと言っているのです。紫式部だけではなく、道長も和泉式部の自由奔放な性生活ぶりに呆れ、いい加減にしろと注意した程です。
話を紫式部に戻します。
京都には紫式部が地獄に堕ちたという伝説があります。地獄に堕ちた理由は紫式部が嘘ばかりを書いたからだそうです。式部の墓は京都市北区の紫野にあるのですが、隣に小野篁の墓が建っています。篁は平安時代初期の政治家で学者でもありました。
式部よりも150年余り以前の人です。その二人の墓が並んでいるのは、篁の人となりに原因しています。篁は冥府で閻魔大王を補佐していたと伝わっています。
冥府にやって来た人間を地獄か極楽かを裁く閻魔大王に助言をしていました。地獄に堕ちた紫式部は小野篁に助けを求めている、と解釈されているのです。再来年のNHK大河ドラマの主人公、紫式部の意外な伝説です。
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(メルマガ『歴史時代作家 早見俊の「地震が変えた日本史」』2022年7月1日号より一部抜粋。この続きはご登録の上、お楽しみください)
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