マグロの内臓が「希少部位」として人気
今年の1月、石原氏は対馬のクロマグロの養殖場を訪ねた。漁師さんは船上でマグロの解体を行ったが内臓を次々と海に捨てた。石原氏は「それは食べられないものか」と尋ねたところ、「漁師の中で好きな人は食べる。ただし、掃除をしたり調理をするのはすごく面倒だ」という。捨てているので市場には出回らない。しかし、その捨てられる内臓に興味を抱いた石原氏は後日店に届けてくれるようにお願いした。
店にマグロの内臓が届いて、早速試食会を開催。しかしながら、「お先にどうぞ」と言っても進んで箸を出す人がいない。おそるおそる食べてみると、これがまた絶妙な食味であった。特に白子は絶品。そこでこれらを「希少部位」として売ろうと考えた。
業態開発のパートナーであるサントリーの担当者はGCの新業態で「翆」を推して売りたいという。同社では「レモホル酒場」でサワーを卓上サーバーで飲み放題にしている経験から、「翆」のジンソーダをこの売り方にしようと考えた。しかし、これが90分500円で飲み放題(税別、以下同)のままでは新鮮味がないと考えて、思い切って「75分飲み放題無料」にした。「75分で飲み放題終了」と区切るのではなく、75分になったらお客に「〆の一杯いかがですか」と声をかける。お客にとっても時間に縛られている感覚が緩くなって好感を抱かれるようだ。客単価は現状2,000円程度。お客は会計の時にみなびっくりしているという。
ちなみにメーカーからの協賛は一切ない。卓上サーバー関連に400万円がかかったが、これも同社で負担した。
フードは、マグロの場合、赤身よりも希少部位がよく売れている。一番人気は「対馬まぐろ希少部位3種食べ比べ」880円、試食会で絶賛された「白子ポン酢」は780円。マグロ関連以外では、「まぐろじんだし巻」490円、「和風フライドポテト」390円という具合に、原価率が低いものがよく売れている。
とは言え、飲み放題のお酒が無料で客単価2,000円。これで利益は出るのだろうか。