ジンソーダ飲み放題が無料の衝撃。それでも儲かるマグロ料理店のからくり

 

長崎の産品で「マグロ」の可能性に着眼

石原氏は1982年11月生まれ、長崎県出身。空手に打ち込みK-1の選手に憧れ、26歳でK-1にスカウトされ大阪に移る。K-1の活動を続けながら28歳の時に飲食業の会社を設立、2015年に父の事業を引き継ぐことになり、飲食店をすべて当時の店長に譲渡。自分は長崎に戻り、飲食事業をテコ入れするなど事業を再構築した。ここからヒット業態が生まれていく。コロナ禍の2020年11月大阪にオープンした「レモホル酒場」が大ヒットしてチェーン展開を進めていく。「レモホル酒場」は卓上サーバーでサワー飲み放題・ホルモン食べ放題という業態。客単価3,000円で主に20代30代のファンが多い。

その石原氏に、昨年の暮れ、長崎県からオファーがあった。それは、同社が長崎および九州で展開している「レモホル酒場」をはじめ、同社の飲食店のことを「ブランディングが上手い」とかねがね長崎県が注目していたという。調べていくと、ここの会社の社長は長崎出身だという。そこで石原氏は「お宅の会社で長崎の産品を売ってほしい」と長崎県から依頼をされた。

これらの産品はカタログになっていて、これらの中で「マグロが売れるのではないか」と石原氏は考えた。海外の特に中国のお客はマグロを好む。インバウンドが戻ってきたら、この業態は確実にヒットするだろうと。

長崎県の担当者の話では、「離島振興法」の補助金が国からたくさん出ているが、それをうまく使いこなせていないという。「離島振興法」とは、人口減少が継続し、高齢化が急速に進展している離島の人々の生活の安定と福祉の向上を図るためのもの。そこで、補助金を活用することで雇用促進が進むことが期待されている。

離島振興法を活用すれば、産品を届けるための送料に補助金が出て、送料を下げることが可能となり対馬のマグロを大都市で売ることができる。対馬のマグロは養殖のクロマグロで、大都市での販売ルートができると、養殖業者は事業を大きくして、雇用を増やすことができる。市場では「長崎県産のクロマグロ」という商品力で戦うことができる。

そこで石原氏は「マグロ専門店」をつくろうと考えた。

コロナ禍にあって、天神橋筋商店街でも物件が出るようになった。GCではここに13坪と82坪の物件を確保した。小さい方の物件では2月19日にファストフード系のマグロ専門店「新鮮組まぐろ屋」をオープンした。この店はカウンター12席でオープン初日に400食を販売するという大繁盛店となった。その後、長崎市内、京都・四条烏丸、大阪・梅田、東京・新橋と展開していく。客席4~8席の軽装備なフォーマットで、テイクアウト販売も期待されている。商品はマグロ丼で部位によって価格が変わるが中心価格帯は1,500円あたり。

最も繁盛しているのが京都・四条烏丸の店舗、6席の店舗で6月17日のオープン初日に210人が来店した。いまも一日20万円程度を販売している。

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