仕事とは“お金を稼ぐこと”なのか?「生涯現役」という言葉の違和感

 

会社員として過ごす時間は、常に予算や売上、自分の給料などお金のことを考えている。生活するにもお金は必要だし、趣味を楽しむにもお金は必要だ。だからお金のために働いている。お金のことを考え、お金のために働くことが善であり、お金にならないことは悪であるという刷り込みが数十年にわたって行われるのだ。人生の半分の時間を使ってじっくりと行われ、それが常識だと思うようになる。

このままの状態で定年を迎える人は不幸だ。定年後に用意されている仕事の多くは、単純作業で報酬も低い。つまり、自身が低い評価をしていた仕事だ。会社で責任ある仕事を任せられていた人も、定年後は評価の低い仕事しか与えられない。その仕事をすることが本当の自分の時間なのだろうか。

3.自分で考え行動することは悪?

子供の頃、夢中になった時間はお金が目的ではない。好きなことに熱中したから楽しかったのだ。しかし、お金にならないこと、自分の好きなことをするのが悪であると刷り込まれてしまった。好きなことをするのも、好きなことを探すのも悪だと考えるようになってはいないか。

自身を支配する者の命令に従うことだけが善であり、自分で考え行動するのが悪だと考えてしまう。定年になってから、最初に行うべきことは、このカルト的な思想から脱却することだ。他者に従う期間は終わり、解放されたと理解すべきだ。

そして、贅沢はできなくても、年金でそれなりの暮らしができるならば、金を稼ぐための時間ではなく、自分の好きなことをする時間を確保しなければならない。そうしないと、死ぬ間際に後悔することになる。死の間際、もし自分の人生に後悔があるとしたらどんなことか。終末医療の現場のレポートでは、「なぜ、もっといろいろなことをしなかったのだろう」「なぜ、好きなことをしなかったのだろう」という声が最も多いという。

上司の言うことを聞いて、定年後は妻の言うことを聞いて、あるいは医者の言うことを聞いて自分の行動を決めてしまう。それでは自分の時間とは言えないのではないか。

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