詰んだ欧州。米英主導の対プーチン制裁という詐欺策に乗って自滅するEU

 

どちらにせよ、欧州など米国側が開戦時に軽信していた「ウクライナがクリミアを奪還し、プーチンのロシアが潰れる」というシナリオの実現性は、すでに確定的にゼロになっている。米国側はもうロシアに勝てないのだから、ロシアを経済制裁して石油ガスの輸入を止め続ける意味もない。ロシアは、米国側に輸出していた石油ガスをインド中国など非米側に輸出できるので経済制裁が続いてもかまわない。困っているのは、石油ガスが足りなくなっている欧州など米国側の方だ。欧州がロシアの石油ガスの輸入を止め続けると、欧州自身の経済の自滅がひどくなり、社会や政治も崩壊していく。制裁を続けても、ロシアの拡大とウクライナの縮小は止められない。むしろ欧州が対露制裁をやめて、ロシアと和解して石油ガスの輸入を再開するとともに、ロシアとウクライナの間を仲裁すれば、ロシアはこれ以上ウクライナでの支配地を拡大せず、ウクライナの領土がこれ以上削られずに平和を実現できるかもしれない。欧州は、ロシア敵視をやめることで石油ガス不足を解消でき、経済社会政治の自滅も防げる。

ロシアの優勢で一段落しているウクライナ
複合大戦で露中非米側が米国側に勝つ

しかし、この方法も多分うまくいかない。欧州(EU、独仏)がロシア敵視をやめると、米英とウクライナが欧州を猛然と非難し、敵視すら開始する可能性がある。ウクライナの極右政府は米英の傀儡であり、欧州の言うことなど聞かない。ゼレンスキーはドイツを馬鹿にしている。EUの中でも、ポーランドやバルト三国などはロシア敵視をやめることに強く反対する。独仏がロシア敵視をやめようとすると、その時点で米英と鋭く対立してNATOが崩壊し、ポーランドなども反対してEUも内部崩壊する。この崩壊によって米国側の全体が弱体化し、米国覇権の低下と露中の台頭・多極化に拍車がかかる。独仏が米国覇権や欧米優位の世界を壊したと非難される。

US fears for EU unity amid gas cuts
How A Russian Gas Freeze Would Curtail European GDPs

そもそも、独仏やEUの上層部、政界官界マスコミなどエリート層には、米諜報界の傀儡勢力がたくさんいて、その傀儡たちが、欧州がロシア敵視をやめようとすると猛反対して阻止する構図ができている。欧州は米諜報界に入り込まれ、そもそもロシア敵視をやめることなどできない。欧州がロシア敵視をやめるとしたら、それは今後もずっと欧州がロシア敵視を続けてロシアからの石油ガス輸入が止まり続け、欧州の経済社会政治が今よりもっとひどく自滅していき、独仏など欧州各国で次々とエリート系の政権が選挙で転覆され、エリート支配を壊すポピュリストたちが政権を取って、その後の長いエリート層との政争に勝ってからだ。そこに行き着くまで何年かかるのかわからない。その間に米国の政治崩壊や金融バブル崩壊も起こりうる(日本はずっと自民党政権で安定し続けているだろうが)。

日米欧の負けが込むロシア敵視
European Gas Soars As Russia Throttles NS1 Flows To just 20% Of Capacity

先日、ドイツの左派(SPD)のシュレーダー元首相がロシアを訪問し、ロシア側(プーチン?)と会談してロシアから欧州へのガス輸出の再増加をお願いしている。シュレーダーは親露派で、ノルドストリームのパイプライン建設計画の推進者だった。彼は、2月のウクライナ開戦後、ドイツや欧州のエリート層全体が強烈なロシア敵視を開始した後も「欧州はロシアの石油ガスなどが必要だ」と言って親ロシアを貫き、欧州のマスコミ権威筋などから猛烈に非難されても態度を変えなかった。今後、欧州のエリート層がロシア敵視をやめられずに経済社会政治の自滅が加速していくと、シュレーダーのような親露派の出番が再び出てくる可能性が増す(安倍晋三のように殺されなければ)。左派エリート政党であるSPDがシュレーダーの親露路線を再び受け入れれば、ドイツはポピュリスト政権にならずに親露派に転向(出戻り)しうる。

German ex-chancellor Schroeder in Moscow, Putin meeting possible
Ex-German Chancellor Schroeder arrives in Russia for talks on gas supplies

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