詰んだ欧州。米英主導の対プーチン制裁という詐欺策に乗って自滅するEU

 

どのような道をたどるにせよ、そこまで行くにはかなり時間がかかる。欧州は、今よりもっと崩壊しないと対露制裁をやめられない。ロシアが早くウクライナで支配地を拡大し、ウクライナがロシアとポーランドに分割されて国家消滅するのが早いと、欧州など米国側がロシア敵視に見切りをつけるのも早くなる。展開が早いと、米国覇権・欧米優位体制の崩壊があまり進まないうちにウクライナ戦争の構図が終わり、米国覇権が温存されてしまう。プーチンも米多極派も、それを望んでいない。プーチンはおそらく、米国覇権・欧米優位の体制が完全に壊滅するまでウクライナ戦争の対露制裁が続き、中途半端でなく完全に多極型の世界が出現することを望んでいる。だからロシアは、ウクライナでの軍事作戦をできるだけゆっくり進め、米国側が対露制裁を続けて自滅していくウクライナ戦争の構図をできるだけ長引かせている。ウクライナ戦争の構図は、少なくとも来年まで続く。3年ぐらい続くかもしれない。

プーチンの偽悪戦略に乗せられた人類
Russia Will Now Help Ukrainians “Get Rid Of Regime,” Lavrov Says

プーチンは米国覇権の崩壊と多極化を望んでいる。その方がロシアが封じ込められず、発展するからだ。米国の資本家層の意を受けた米諜報界の隠れ多極派も、世界の非米側の地域が発展できる多極化を望んでいる。プーチンと米多極派がどの程度結託しているかはわからない。相互に連絡をとらなくても多極化を進められる。欧州は、今回のウクライナ戦争の前から、非現実な地球温暖化への対策としての自滅的なエネルギー政策の強要(効率的な化石燃料の禁止と、非効率な自然エネルギーの拡大)、新型コロナ対策としての都市閉鎖の超愚策をやらされるなど、米諜報界がマスコミ権威筋やエリート層を巻き込んでやらせたいくつもの謀略によって、経済的に自滅させられてきた。米国だけを潰しても、欧州など同盟諸国が米国を助けて覇権を維持してしまうので多極化できない。欧州と米国を同時に潰すことが必要だ。そのための欧州自滅策として、ウクライナ戦争の対露制裁はとてもうまくいっている。

制裁されるほど強くなるロシア非米側の金資源本位制
ひどくなる大リセット系の嫌がらせ

(無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』2022年7月30日号より一部抜粋・敬称略)

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