甘い認識。海外の日本人駐在員が陥る個人賠償責任保険「未加入」の罠

 

とにかく、企業賠償責任保険でカバーできないことは説明しましたが、彼の認識としては「自分は駐在員なので、生活の全ての範囲が業務のはずだから、プライベートの範囲も会社が補償してくれる」とのことでした。

僕から言わせれば、そんなの単なる思いこみでしかありません。事実としては、プライベートの範疇で起きた損害賠償事故であるということだけです。

保険で補償できなかったとして、会社が全部その人の賠償金を払ってくれる確証なんてどこにもありません。会社規約にあるのでしょうか?あるなら別ですが、では100億円近くの賠償を出したとして、それでも会社は払うのでしょうか?もし払ってくれたとしても、その社員のプライベートの行動で会社に莫大な損害を出したという事実は残ります。それでも良いのかという話。

ドイツの保険なら年間1万円払えば最大100億円の賠償だってカバー可能です。だから賠償責任保険くらいは入っておいた方が良いというのが僕らの見解なのですが、そもそも興味がない駐在員の人たちはあまり気にしません。

会社が面倒を見てくれる…そんな甘い考えを持っているのは日本人の駐在員くらいのものです。自分の身は自分で守らなければなりません。

この人のケースはまだ進行中で、恐らく賠償額は100万円を軽く超えるでしょう。法律的に業務中ではないと判断されて、あとは会社の気分次第となります。そんなあやふやなものを信じている一部の駐在さんに対して、自分としては非常に複雑な気分です。

無知であることは損ではありますが、罪ではありません。しかし、無知に対して傲慢であることは後に大きな失敗として降りかかってきます。

学ぶ姿勢と、謙虚さが重要だということですね。

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1991年大阪生まれ 2009年:大阪府立生野高校卒業、神戸大学国際文化学部入学 2011年9月~2012年6月:オーストリア・グラーツ大学留学 2014年3月:神戸大学卒業 同年4月~3月:高校英語科講師 2015年:地元市役所入庁、病院事務局、税務課を歴任 2016年4月~2017年3月:適応障害により休職 2017年4月~7月:再度高校の英語講師 2017年9月:ドイツ、ドレスデンにワーキングホリデー 2018年3月~7月:ドイツ、ツィッタウにて大学の語学準備コース 2018年10月~2020年2月:ドイツ、ゲルリッツ大学文化マネジメントコース


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