欧米台湾重視の我が国にイライラ?中国で「日本人拘束」が急増の意味不明

2022.08.25
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欧米や豪州・台湾といった自由主義諸国との連携を深める一方で、専制主義には与しない姿勢を見せる日本。そんな我が国に対する習近平政権の苛立ちが、在中邦人の身を危険に晒しています。この現状を取り上げているのは、外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏。アッズーリ氏は今回、中国政府により現地の日本人が次々と不当拘束されている現実を紹介するとともに、今後大量の日本人が同じ目に遭う可能性を指摘しています。

中国での邦人拘束が増加する

岸田政権になって以降、日本は米国や欧州、オーストラリアなど欧米諸国との政治経済的な結束を強化する一方、ウクライナに侵攻したロシア、現状変更政策を続ける中国とは一線を置く政策を強化している。日本が米国の重要な軍事同盟国である以上、岸田政権の外交安全保障政策は納得がいくものである。しかし、中国が日本にとって最大の貿易相手国という現実を直視すれば、今後の日中関係を懸念する声は民間企業を中心に少なくない。

そして、今日、その懸念が現実のものになろうとしている。7月下旬、石破元防衛大臣が団長を務める国会議員団が台湾を訪問し、蔡英文総統ら台湾の要人らと相次いで会談した。両者は台湾有事など安全保障問題で集中的に議論し、石破氏は、台湾有事についてあらゆる可能性を検討し、台湾からの邦人退避についても手の内をすべて明かせないが対策を検討していると明らかにした。一方、台湾を国内問題と位置づける中国は石破氏らの台湾訪問を強く非難し、「誤ったメッセージは送るな」などと反発した。

岸田政権以降の日本の欧米、台湾重視という姿勢に中国は明らかに苛立ちの度合いを強めており、今後の日中関係悪化は避けられそうにない状況だ。そうなれば、1つ大きく懸念されるのが中国での邦人拘束だ。日中関係は悪化すれば、そのリスクは確実に高まる。本来、一方の国が対立国に政治的圧力を掛ける場合、外国人の不当拘束という手段は強い人権侵害で、経済制裁以上にやってはいけないことだ。しかし、習政権の強権体制がいっそう強化される中では、我々はそのリスクについて十分に考えておく必要があろう。

最近でもその事例が報告されている。上海の日本総領事館によると、昨年12月に上海で拘束された50代の日本人男性が今年6月、中国当局によって逮捕されていたことが分かった。現在のところ、なぜ中国当局が逮捕に至ったか具体的な容疑は不明のままだが、スパイ行為に関与し、国家の安全に関わる容疑が疑われているという。日本総領事館が男性との面会を要請しているというが、中国当局は拒み続けているようだ。

また、昨年1月には、反スパイ容疑で逮捕されていた日本人男性2人に対して下されていた懲役刑が確定した。2016年に拘束された1人は懲役6年の判決を受け、2015年に逮捕されたもう1人は懲役12年の判決を受けていたが、2人は不服申し立てを行ったものの、裁判所から棄却された。2015年以降、これまでに拘束、逮捕された日本人は16人に上り、大手商社マンや大学教授などバックグラウンドは様々だ。しかし、全てのケースで共通しているのは、なぜ拘束されたか逮捕されたか具体的な理由は分かっておらず、政治的な意図が政治的な意図が働いているということだ。しかも、多くのケースで起訴され、懲役刑の判決を受けている。

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