22年前(2000年)のニューヨークタイムズ時代、初めて高橋容疑者にインタビューして以来、高橋氏に目の仇にされていたというちっぽけな個人的感情ではない。五輪のみならず、日本のスポーツイベント、いや、テレビ放映権まで含めた日本の利権構造の闇を知る数少ない当事者の逮捕は、うんざりするようなこの国の腐敗システムを変える可能性を持つ、一筋の光明に見えたからである。
果たして、本丸の高橋逮捕はどこにつながるのか。この後、高橋氏の再逮捕が繰り返されて、事件を固める作業が続くだろうが、最終的に東京地検が狙うのはどこなのか。特捜検事といえでも人の子である。承認され、組織の評判の高まることを嫌う理由はない。
あの黒川氏のキャリアが「麻雀賭博」で絶たれ、同期の林検事総長が退任した6月、検察は新しい体制でスタートを切った。これは検察再生の始まりとなるのか。
このメルマガでは、『暴走検察』(朝日新聞出版)の著者でもあるジャーナリスト上杉隆が、地検による五輪汚職追及のきっかけ、背景には何があったのか、また今後の捜査状況と事件の進捗、さらには最終ターゲットは誰なのかなどを、同時進行の取材を交えながら最新情報をお届けする。
まずは、冒頭にも記した次の3つの要素を基に、今回の東京地検特捜部の動きについて解説していこう。
- 安倍晋三元首相の銃殺
- 甲斐行夫検事総長の就任
- 市川宏東京地検特捜部長の存在
(つづく)
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