なぜ、世界で戦争が起きるとファッションにも変化が起きるのか?

Moscow, Russia - March 2022: T-shirts with letters Z and V, baseball caps with inscription Russia in a souvenir shop. Signs of Russian special military operation in Ukraine, tourist gifts
 

4.経済不況とファッション

そもそもファッションを楽しむには、ある程度の経済的余裕が必要だ。最低限度の衣食住の生活環境が整備されてから、ファッションへの興味が生じる。

もし、経済不況が人々の生存を揺るがすほどのものになれば、ファッションは消えるのだろうか。

ファッション消費は消えるかもしれない。しかし、ファッションは消えない。

世界中でマスクが消えた時、日本人は布マスクを自作した。縫製工場ばかりではなく、一般の人々が作り始めたのだ。家庭用ミシンが売れ、マスクに使うゴム紐が品薄になった。

一方、世界の工場、中国には布マスクという発想がなかったようだ。彼らは、ブラジャー、ガラス鉢、瓢箪、ナプキン等をマスクの代わりに使用していた。

もし、日本人が経済不況で貧しくなっても、リフォームやリサイクル等、自作ファッションを楽しむに違いない。お金がなくても、ありあわせのモノでアクセサリーを手作りする人は大勢出てくるだろう。

問題は「ファッションを楽しむ心」の有無である。お金があればラグジュアリーブランドを楽しみ、お金がなければ、古着やワーキングウェア、リサイクル等のチープシックを楽しむ。

世界的大不況が到来した時こそ、ファッションセンスが問われるのである。

編集後記「締めの都々逸」

「どんな時でも 己を磨き 明るく微笑む強い人」

どんなにお金がなくても、ファッションはなくならないというのが私の信念です。制服が決まっていても、ソックスの折り方を工夫したり、髪ゴムを工夫するのが日本人だからです。日本人は1,000年以上、着るものを常に意識してきた民族です。そして、流行もあったんですね。流行があるというのは、常に新しいものを求める好奇心があるということです。

その上、服に対して、とても想いが強い。昔は袖を千切って好きな人に渡したり、袖を振る動作で気持ちを伝えたり。きものには魂が宿るので形見になるんですね。

ですから、本来、服は作るものであり、金で買うものではないのです。これは、ヨーロッパ人にも共通する考え方だと思います。米国は新しい国なので、最初から大量生産の服を着ていました。中国も同様です。手作りの服という文化がないんですね。

基本は自分で作る。金がなくても作ればいい。作らなくても、刺繍を入れたり、絵を描いたりすればいい。それで自分のオリジナルになります。ですから、ファッションはなくならないのです。(坂口昌章)

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