日本ではすっかり定着してしまった「親ガチャ」という言葉。生まれ持った容姿や性格、家庭環境によって、その後の人生が左右されてしまうという意味ですが、果たしてそれはどこまで正しいのでしょうか。今回は、メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の中で、「双生児法」の研究者がその真実を突きつける一冊を紹介しています。
親ガチャは正しいか?⇒『生まれが9割の世界をどう生きるか』
安藤寿康・著 SBクリエイティブ
こんにちは、土井英司です。
本日ご紹介する一冊は、行動遺伝学の専門家であり、『日本人の9割が知らない遺伝の真実』の著者、安藤寿康さんによる新刊。
※ 参考『日本人の9割が知らない遺伝の真実』
すっかり定着した「親ガチャ」という言葉がどこまで正しいのか、教育はどこまで子どもの未来に影響を及ぼせるのか、教師や親に厳しい現実を突きつける、注目の一冊です。
著者は、一卵性双生児と二卵性双生児の比較をし、遺伝の影響を見極める「双生児法」の研究者。
本書では、この研究により得られた知見をもとに、何が遺伝で、何がそうでないか、何が変えられなくて何が変えられるか、リアルな見解を示しています。
本書によると、身長や体重の遺伝率は90数パーセント、神経質さや外向性、勤勉性、新奇性といったパーソナリティについては、遺伝率は50パーセント程度。統合失調症、自閉症、ADHDに関しては、80パーセント程度が遺伝で、反社会的な問題行動に関しては、60パーセント程度の遺伝率だそうです。
驚いたのは、優秀な親と優秀な親の組み合わせだと、子どもの知能の平均は両親の中間より、集団全体の平均に近づく確率が高くなるということ。
また、先生や親にとっては残念なことに、子育てや教育の影響というのは、思ったほど大きくないことも示されています。
では、一体何が子どもの成功に影響するのか。それこそが、本書の最大の読みどころです。
本文を読む気のない親御さんには、「静かで落ち着いた雰囲気の中で、きちんとした生活をさせること」と「本の読み聞かせをすること」だけをおすすめしておきましょう。
しっかり学びたい方は、買っていただいた方がいいと思いますが、まずは本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。