なぜ、日本の国民年金は専業主婦までも強制加入になったのか?

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国民年金に加入して定額の国民年金保険料を納めている人は国民年金第1号被保険者として、厚年や共済に加入している人は国民年金の第2号被保険者となりました。

2号被保険者に扶養されている専業主婦は国民年金第3号被保険者として、正式に専業主婦の人も強制加入となりました。

サラリーマンの専業主婦はそれまでは何も加入してなかったのに、強制となったわけです。

強制の加入にした事で、専業主婦は将来は自分の名義で年金を受給する事が出来るようになりました。

従来であれば、夫の厚生年金が妻の生活費をひっくるめて、夫の口座に全ての年金が振り込まれるような流れだったのに、妻にも将来は妻自身の年金が振り込まれる形となったのです。

なぜ専業主婦も強制加入にする必要があったのかというと、万が一に妻の生活が夫と離婚した場合に即座に貧困に陥る事になるからです。

更に、年金に加入してない時に障害を負っても、障害年金が請求できないという欠陥がありました。

よって、専業主婦の年金を確実なものとする改正だったので、女子の年金が確立された!という事で、非常に評価された改正でした。

しかしながらこの制度は、年金保険料を支払わなくても将来は年金が貰えるらしい…という話が広まり、それは不公平だという声が強くなっていきました。

特に夫婦共働き世帯からの批判が噴出し、専業主婦世帯への風当たりが強くなりました。「私は働いてるのに、働いてない人が将来年金を貰えるなんておかしい!」と。

とはいえ世帯収入が同じであるならば、貰える年金は同じであるので不公平にはなっていません。

例えば、専業主婦世帯で夫のみで40万稼ぐ世帯と、夫婦共働き世帯で夫と妻がそれぞれ20万円ずつの場合は、世帯が負担する保険料も受給する年金も同額になります。

世帯収入が同じになるなら同じ保険料負担で同じ受給額なのに、個別に国民年金第3号被保険者に年金保険料を支払わせるわけにはいきませんでした。

年金制度の設計には年金数理人という数学のエリートが携わりますが、制度自体は合理的なのでどのように制度を変えていいのかの案は出なかったため、結局は厚生年金加入を増加させるという流れで国民子金第3号被保険者を縮小していこうとしています。

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