軽視は危ない。天候不順が引き起こす体調不良「気象病」の実態とは

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相次ぐ台風で頭痛やめまい、だるさや神経痛などの体調不良が起こっているとしたら、気のせいではなく“天気”のせいなのかもしれません。低気圧などが引き起こす「気象病」が増加傾向にあると注意を促すのは、メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』著者で健康社会学者の河合薫さんです。河合さんは、コロナ禍で生活習慣が変わり、ストレス発散がうまくできないことが要因の一つと説明。気象病を患う男性の場合は、更年期障害が見過ごされていることもあり、どちらも軽視は危険と訴えています。

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頭痛やだるさの原因は?

みなさん「気象病」ってご存知ですか?これは生気象学という学問で研究されているもので、1900年代初頭からスイスやドイツで広がりました。

例えば、ドイツでは春先になると「フェーン風」と呼ばれる強い南風が頻繁に吹くのですが、フェーン風が吹くと精神が不安定になる。作業の能率が著しく下がり、交通事故が増えることがわかっている。これが「気象病」です。さらに、フェーン風が吹く日は、自殺者も増えたり、手術中に出血が大量に増えるため死亡者が増えたりもします。

そこでドイツでは、フェーン風が吹く日は「自動車の運転に十分注意してください」とラジオなどて繰り返される地方もあるとのこと。「気象病」という3文字から、一見「軽度な症状」という印象をうけがちですが、たかが天気、されど天気。気象病は命にも関わる深刻な病なのです。そんな油断ならない「気象病」が、近年の異常気象の頻発に加え、コロナ禍で「気象病」が増えていることがわかりました。

欧州では、以前から冬季になると鬱傾向を発症する人が増えていたのですが、この数年間でその数が倍増していると報告され、日本でも同様の傾向が起こり始めているのです。都内のクリニックには、毎年梅雨に入ると、頭痛などの症状を訴える「気象病」の患者が増えるのですが、コロナ感染拡大以降、その数が急増。コロナ禍で生活習慣が変わったことが関係してると指摘されています。

そもそも気象病は、天気の影響に加えストレス要因も関係しているので、“現代病”の側面もある。慢性的にストレスを感じていると、だんだんと「ストレスがある」と知覚できなくなる一方で、体内ではさまざまな影響がでてしまうのです。

コロナ禍では、在宅勤務などで「通勤地獄」からは解放されましたが、人と接する機会が減ったことが、ストレスになっているケースも少なくありません。フェイスtoフェイスであれば、たわいもない話をしたり、上司や会社の愚痴をこぼすこともできた。コロナ前には、飲み屋で酒を飲み、カラオケで歌いまくることで、ストレスを発散することもできました。

どれもこれも、たわいもないことのように思われがちですが、実はこういった他者との関わりが、ストレスの軽減に役立っている。コロナ禍では自分時間や家族との時間が増えるなどいいこともありましたが、「会社員」ならではの「無駄な時間」がなくなったことで、ストレスに対処できず、知らず知らずのうちに溜まってしまうのです。

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