「家庭が大事」という統一教会の呪縛を解き放て。母親が抱く罪悪感「マミーギルト」の深刻度

shutterstock_1880010340
 

母親が子どもや夫に抱く罪悪感、「マミーギルト」。これがコロナ禍を機に社会問題化しているようです。在宅の時間が増えることで、母親として妻として家事や育児を完璧にこなさなければならないのになぜ私はできないんだろう…という家庭における「罪悪感」を持つことですが、この「家庭が大事」という思想こそが旧統一教会の教義に通じるものがあると指摘するのは、メルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』の著者でジャーナリストの伊東森さん。伊東さんは、統一教会の問題がクローズアップされている今こそ女性が「家庭が大事」という呪縛から解放され、この考え方を見直すべきだとして、多くの事例とともに「マミーギルト」の問題点をあげています。

この記事の著者・伊東森さんのメルマガ

初月無料で読む

母親が抱く罪悪感「マミーギルト」コロナ渦で深刻化

コロナ禍の今、私たちは「マミーギルト」という言葉とあらためて向かい合わなければならない。

「家事や育児がきちんとできず、申し訳ない。私はダメな母親だ──。」(1)

母親が、子どもや夫に抱く罪悪感を、英語で「マミーギルト」と呼ぶ。とくに新型コロナウイルス禍における在宅勤務の普及や相次ぐ休園・休校などを背景に、問題となりつつある。

マミーギルトという言葉は英語圏でも。アメリカでは、

「母親は父親に比べ、自分の仕事が家族に与える影響について多くの罪悪感を持つ」(2)

といった調査結果も。

働く女性のキャリアコーチングを行うボーク重子さんは、日本にも「母乳神話」などの言葉があるように、

「米国では以前から一般的に広く知られる概念だ」(3)

と説明する。

マミーギルトは離職理由にもなる。

「仕事を辞めたいと家計相談に来る女性らから『子どもを犠牲にしている』という言葉を呪文のように聞く」

と日本経済新聞の取材に答えたのは、ファイナンシャルプランナーの内藤真弓さん。

内藤さんは、数年前に子どもを持つ女性医師26人に聞き取り調査をした際も、この「呪文」を多く聞いたという。

コロナ禍で深刻化

マミーギルドは、コロナ禍で深刻化する。これまでは、母親たちは保育園や学童保育などを利用し、自ら仕事に集中できる環境を整えてきた。

しかし、それらの利用が制限され、さらにコロナ禍における子どもの健康管理という負荷も加わる。結果、「在宅勤務」と「家庭保育」との両立が生じた。

母親自身の仕事のみならず、子どものオンライン授業のフォローもせねばならない。

今年1月下旬から2月に日経ウーマノミクス・プロジェクトが実施したアンケートで、小学生以下の子どもを持つ女性461人の回答を集計したところ、74%が、

「家事や子育てと仕事を両立するうえで、子どもや夫、周囲に対して罪悪感を感じることがある」

と回答。

さらに罪悪感を感じる人のうち35%がコロナ禍で「罪悪感が深まった」と答えた。

「子どもが話しかけてくるのに、仕事中だと突き放さなければならない」(神奈川県・40代)

「在宅勤務中、子どもに動画ばかり見せてしまう」(東京都・30代)

などの声が寄せられる。

一方、子育て世代向け女性誌「VERY」(光文社)は2021年から22年に4号にわたり、「そんなの、かまへん!」特集を掲載。

「ご飯を作りたくない日は吉野家へ。牛皿買って夕ご飯。そんな夜があったってかまへん!」

「『ママも部屋着で登園』だってかまへん!」

と良き「手抜き」を訴える。

この記事の著者・伊東森さんのメルマガ

初月無料で読む

 

print
いま読まれてます

  • 「家庭が大事」という統一教会の呪縛を解き放て。母親が抱く罪悪感「マミーギルト」の深刻度
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け