無策で低レベル。なぜ野党はいつも「ここ一番」で必ず自滅するのか?

2022.10.14
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旧統一教会との不適切な関係や安倍元首相の国葬実施を巡り、支持率の急落に見舞われている岸田政権。しかし野党第一党である立憲民主党は迷走を続けるばかりで、国民の支持を得るには遠い状態にあると言っても過言ではありません。そんな野党の体たらくを厳しく批判しているのは、立命館大学政策科学部教授で政治学者の上久保誠人さん。上久保さんは今回、野党が自民党一強の状況を作り上げてしまった理由を考察するとともに、日本の未来のため彼らが自覚すべき役割を提示しています。

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)
立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

政権支持率低下にも動けず。自民党の失策活かせぬ野党の体たらく

立憲民主党と日本維新の会が「国会内共闘」を進めている。臨時国会の要求がある場合、内閣が20日以内に召集に応じることを義務付ける「国会法改正案」や、衆院選挙区の「10増10減」を含む公職選挙法改正案の成立など6項目を合意した。また、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題についても、被害者の救済や防止策といった協議を両党で進めるとした。

しかし、地域政党「大阪維新の会」大阪府議団が、共闘に反対を表明した。立憲民主党も臨時国会での協力が選挙協力に発展するかについて、曖昧な表現を繰り返している。この共闘の将来は不透明だ。

旧統一教会と政治の関係や、安倍晋三元首相の国葬実施で、岸田文雄内閣の支持率が急落しており、野党は一致して攻勢を強めている。だが、これまで「政策」でうまく共闘できなかった野党が、「宗教」「国葬」で共闘しているとはしゃいでいる姿に、国民は冷ややかは視線を向けている。岸田内閣への不支持が、野党への支持にまったく向かっていないのだ。

立民と維新の共闘も評判が悪い。端的にいって、立民は「左派」、維新は「右派」の政党だ。政策志向が真逆なのは、国民の誰もが知っている。

立民は、共産党とのいわゆる「野党共闘」路線を追究してきた。政策的には民主党政権までの「中道左派」路線は事実上捨てて、共産党に引きずられて「左傾化」してきた。特に、安倍晋三政権が「アベノミクス」で左傾化していく中、違いをみせるために立民は「極左化」してきたと言っていい。そして、安全保障政策の推進には消極的だ。

しかし、「野党が候補者を一本化できれば自民党に勝てる」と期待された成果はなかった。泉健太代表が就任した後、路線修正を試みているが、共産党との共闘打ち切りは中途半端なままで、参院選に敗北してしまった。

一方、維新は昨年11月の衆院選、今年7月の参院選と国政選挙での躍進が続き、立民に代わって野党第一党の座を奪おうという勢いだ。維新は大阪を中心とする地域政党から、全国政党への脱皮を図ろうとしている。そのアピールは、自民党よりもラディカルな「憲法改正」「安全保障政策」だ。

この両党が、どのように共闘を進めていくというのか。「国会法」「公職選挙法」「旧統一教会」は、誰もが賛同できるものである。いわば、「宗教、国葬で共闘」とはしゃいだ延長線上にあるものだ。

だが、インフレに悩み、格差の拡大に苦しむ国民生活に密接にかかわる経済財政政策や、中国の軍事的急拡大、北朝鮮のミサイル開発など悪化する安全保障環境に対応するための政策という、厳しい現実に向き合わねばならない政策で、この両党は共闘できるのか。「共闘」「共闘」と浮かれる前に、少しは真剣に考えてみろといいたい。

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