「1分働かなかったから56円カットね」で訴えられた会社は裁判に勝てるのか?

Pay slip written in Japanese. Description of overtime charges. Translation: Wages. item. Amount of money. Basic salary. Overtime allowance.
 

会社が負けました。「ミスにより完了が1分遅れたのは事実ではあるが、その作業も労務にあたる」として、会社にカットした分の給与を支払うように命じたのです。

「56円カットで裁判」と聞いて、みなさんはどう思うでしょうか。もしかすると、「56円で裁判なんて…」と思う人もいるかも知れません。

ではここで実務的に注意すべき点は何か?

今回のカットした給与は「56円」という金額としては確かに非常に少額なものでした。おそらく会社も、まさか裁判にまでなるとは想像もしていなかったかも知れません。それでも、裁判になったのです。

ここは実務的には非常に重要な点です。

もちろん金額の多寡ではなく、法律上、正しいかどうかが重要なので、金額のことを言うのはおかしいかも知れません。ただ、一般的にはこの金額で裁判にまで発展するとは考えづらいでしょう。

では、なぜ裁判にまで発展したのか?それはこの運転士の会社に対する思いだったと言われます。

「会社の体質を変えたい」

実はこの会社は10年以上前に100名以上の死者を出した脱線事故を起こした会社でした。その事故の原因はついてはいろいろな意見がありますが、厳しすぎる運行管理がその一因だったとも言われます。

今回の1分間もこの運転士には「会社は変わっていない」と感じられたのかも知れません。

鉄道会社の立場になれば時刻表を公表し、社会的なインフラを運営しているわけですから、社員に対して時間管理を徹底させるのは当然のことでしょう。

ただ、そのためにどうしていくべきだったのか。それにはもう少し別の手段が、必要だったのかも知れませんね。

みなさんの会社はいかがでしょうか?

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【著者】 特定社会保険労務士 小林一石 【発行周期】 ほぼ週刊

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