ICBMも発射か。北朝鮮「狂気のミサイル連射」が招く世界の混乱と緊張

 

ロシアによるウクライナ侵攻においての対応に追われており、同時に強硬姿勢を強め、軍事力を着々と増強し、武力による台湾侵攻・併合も厭わないと宣言している中国にも対抗しなくてはならない中、北朝鮮の核問題とICBM問題にも対応しないといけないバイデン政権は、聞くところによると、かなり苛立ちを募らせており、クリントン政権以降初めて北朝鮮を徹底的に、それも短期に叩き潰すことを真剣に検討しているようです。

議会は中間選挙に向けて気が気でないとはいえ、現在の議会は上下院ともに超党派で北朝鮮への攻撃やむなしという姿勢が強まっているようですので、ド短期でのサプライズもあるかもしれません(改選後の議会がどう出るかは分かりませんが、勝敗がいかなるものになっても、北朝鮮への苛立ちと強硬姿勢への傾倒はあまり変わらないと言われています)。

アメリカが“瞬殺”を目論んで北朝鮮を攻撃する場合、北朝鮮の反撃は皆無であるはずはないと思われますので(もちろん北朝鮮の即応態勢の度合いにもよりますが)、韓国も日本も無傷ではいられないと恐れています。

そろそろ北朝鮮を戦略的に無視することは困難になってきている今、アメリカの堪忍袋の緒が切れて破滅的な結末を迎えることになるのかは、非常に微妙です。

個人的には、レッドラインは北朝鮮による核実験の再開だと考えますが、その場合はアメリカのみならず、後ろ盾である中国とロシアも北朝鮮を見捨てるかもしれません。何しろ、唯一の助言が“核実験は絶対にするなよ”なわけですから。

ここまで北朝鮮を主題にレッドラインについてお話ししてきましたが、現在の国際情勢にはこの【レッドラインを試す動き】がたくさん見当たります。

最もホットなレッドラインを試すせめぎあいは【ロシアが核兵器を用いることになる基準・ライン】でしょう。

実際には一度もロシア政府は核兵器使用について公言していませんが、プーチン大統領の発言時のニュアンス、政府内の強硬派の脅し、チェチェン共和国リーダーの過激発言、核兵器使用のための演習実施、ウクライナとの国境線沿いに核戦力部隊が配置されているらしいという見立て、そして急遽行われたウクライナ東南部4州の一方的なロシアへの編入(これでロシアの核使用のためのドクトリの条件には合致)、そして何よりもロシアが通常兵器を用いた戦争で大苦戦しているという状況は、プーチン大統領に核兵器使用を決断させるだろうという懸念を高めています。

NATO各国は外交ルートで再三「核兵器使用の場合、ロシアは破滅的な結果を招くことになる」と警告し、最近はNATO軍による“定例の”核戦力運用演習が行われましたし、アメリカの軍幹部たちは何度もロシアによる核兵器使用への懸念を口にしています。

またウクライナ東南部の一方的なロシアへの編入は、その地でウクライナ軍が実行している反攻攻勢を“ロシアへの攻撃であり、それはロシアの自衛権発動の要件”というこじつけの材料にされかねず、自衛のための核使用は厭わないとする軍事ドクトリンを敷くロシアによる核使用の危険性をクローズアップし、「ロシアはけしからん」というキャンペーン実施に寄与しています。

ところでロシア・プーチン大統領は本当に核兵器を使用するのでしょうか?

以前にロシアによるウクライナ侵攻の可能性について予想を外していますので、大胆な予想は避けたいところでですが、あえて予測するならば「ない」と考えています。

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