また、今日では鍋というと白菜がつきものですが、江戸時代に白菜はありませんでした。鍋には葱が使われました。肉食は禁じられていましたが、それは建前で実際には猪や鹿の肉が鍋で食べられており、猪や鹿は山鯨と呼ばれていました。お坊さんがお酒を般若湯と呼んでいたようなものですね。
お酒と言えば江戸時代のお酒は現代よりもアルコール度数が低かったそうです。現代は15パーセントくらいですが江戸時代は12パーセントだそうですからワイン並ですね。京都、大坂にある造り酒屋の清酒が好まれ、江戸には年間500万樽が下ってきたそうです。江戸に下らないお酒を、「くだらない」と呼び、「くだらない」の語源になったことは有名ですね。
庶民は毎日ご馳走を食することはできません。江戸や京都、大坂は白米が出回っていましたので庶民も白米を食べていました。貧しいおかずを白米で補い、食欲を満たしていました。梅干し1個でどんぶり飯を2杯食べた、と自慢する江戸っ子もいたとか。
江戸は朝に炊き、上方は昼に炊いたそうです。江戸では炊き立ての白米を朝に食べ、昼はお握り、夕か夜にはお茶漬けか雑炊にしていたそうです。
江戸時代は闘食、つまり、大食いを競う大会が盛んでした。記録には饅頭を63個と羊羹を7棹とか蕎麦を70枚とか凄まじい食べっぷりが残っています。また、変わったところで醤油を2升飲んだという男もいました。その男は飲んでから死んだそうで、東西馬鹿番付で西の大関(江戸時代は大関が最高位)に選ばれました。ちなみに東の大関は釣り人を見物している者だそうです。
闘食、まさしく戦い、しかも命懸けの食べ比べ、飲み比べをしていたのです。江戸っ子の粋とはかけ離れていますね。
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