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飲食業経営者のハートにほれ込む

『飲食の戦士たち』を運営しているのはキイストン(本社/東京都港区、代表/細見昇市)。飲食業界に特化した人材採用を中心に事業を展開している。代表の細見氏はリクルートの営業出身でトップセールスの常連であった。リクルート時代に知り合った武田あかね氏と共に1992年10月にキイストンを立ち上げた。

細見氏は人材採用の営業分野を「飲食業界」に特化するようになった背景について「独立した当時の“バブル崩壊”が大きな転機となった」と述べる。

飲食業は恒常的に人材が不足していて、求人広告を取ることができてもなかなか採用に結びつかないという現実があったという。それが“バブル崩壊”によって、飲食業における人材採用の環境が変わった。

「不景気になるとほとんどの業界は出店を抑え採用をしなくなる。すると物件の保証金が安くなり、飲食業は出店しやすくなる。飲食業は景気が良くても、良くなくても人材採用に前向きに取り組んでいる、という感覚をつかんだ」

こうして、細見氏は飲食業の経営者に取材をする機会が増えていった。それを重ねていくにつれて、細見氏の飲食業に対する思い入れが大きく変わっていった。

「飲食業の特に複数店舗を展開している経営者は人間力が素晴らしい。1店舗だけだったら“こだわりのおやじ”でいいが、複数店舗となると人を使わないといけない。ハートがあるから人が集まってくる。こうして何十店舗、何百店舗が成立している」

「グルメサイトなどを見ると、ほとんどで社長が独立した経緯、商品に対するこだわりが紹介されていた。そこで社長になるためにはどのような背景があるのかということを一つ一つまとめて行こうと考えた。子供の頃に料理をつくったら親から褒められたとか。社会人になって先輩に憧れたとか、こんなエピソードが重要だと考えた」

生い立ちや修業時代の話は風化しない

このように細見氏は“飲食業愛”を強めていって、キイストンの事業を「飲食業特化型」に先鋭化していきwebコラムの『飲食の戦士たち』が誕生した。

2008年2月に第1回をスタート。「早い段階で“情報の量”をつくろう」と考え、3年後の2011年1月に200回を達成した。「すると視界がガラリと変わった」という。『カンブリア宮殿』『ガイアの夜明け』をはじめとしたテレビ番組からの問い合わせが増えていった。

コラムの連載回数が増えていくにつれてアポに対する信頼度が高くなった。飲食業経営者から「当社の従業員に、どのようにして会社ができたのかを知らせたいので記事にしてほしい」といった依頼を受けるようになった。

『飲食の戦士たち』が連載を15年近くの間で900回を達成することができたポイントは何だろうか。細見氏はこう語る。

「いろいろな経営者の連載があるが、ほとんどが“いまの状態”を記事にしているので連載を長く継続することができない。しかし、経営者の生い立ちや修業時代の話は風化することがない。このようなコンセプトに誇りを持ってのぞんできた」

ちなみに鳥貴族の大倉社長の記事は連載開始当初の2009年10月の第72回で掲載されている。当時鳥貴族は「280円均一料金の居酒屋」として頭角を現していた。調理師専門学校で学びながらビアガーデンで体験した接客業の楽しさを嬉々と語る様子は飲食業の原体験として貴重なものだ。こちらが大倉社長のコラム。

第72回 株式会社鳥貴族 代表取締役社長 大倉忠司氏

細見氏はこの独特の編集方針を基軸として連載1,000回達成に向けて意欲を見せる。

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