「鳥貴族」大倉社長も登場した連載コラムの“再現ドラマ動画”が今アツい訳

 

ビジネス書とは違った業界との接点

細見氏は『飲食の戦士たち』連載900回が見えてきたころから「飲食業界を盛り上げるために、われわれがやってきたことを若い世代に伝えたい」と考えるようになった。それは媒体を多様化させて「人と人との出会いの場を広げる」こと。

このようなことを一緒にキイストンを立ち上げた武田氏と話し合っていたところ、武田氏から「動画にしてみては?」と意見があった。武田氏は現在キイストンのグループ会社で飲食業専門の人材紹介を事業とするミストラル(本社/東京都港区)の代表を務めている。また、武田氏は10代からモデルとして活躍していて、現在もミセスモデルを務めている。このような環境にあって俳優や動画制作の専門家との交流があり『飲食の戦士たち』“再現ドラマ”のアイデアはすぐに実践に移すことができた。

『飲食の戦士たち』“再現ドラマ”の指揮を執るミストラル代表の武田あかね氏

『飲食の戦士たち』“再現ドラマ”の指揮を執るミストラル代表の武田あかね氏

『飲食の戦士たち』“再現ドラマ”のストーリーは、冒頭で述べた通りタイムスリップという特殊能力を持つ主人公、サラリーマン廣井が、飲食していた店内で目の前に置かれた店の社長の修業時代にタイムスリップして、当時のその社長に乗り移り、その会社の来し方を体験するというもの。こちらがその動画の予告編。


● 【予告編】飲食の戦士たち再現動画 ~社長たちの原点が、ここにある~

こちらが第1回として作成された、REED代表、樺山重勝氏の動画。


【第一話】飲食の戦士たち ~社長たちの原点が、ここにある~ 株式会社REED 樺山重勝

動画は、サラリーマン廣井が飲食店と遭遇したことからテンポよく展開し、最後の経営者本人が登場して、修業時代に経験したことをリアルに語っている。それが視聴者にしみじみと伝わってくる。

約10分間の再現ドラマの最後には実際の現在の社長とお酒を酌み交わすという趣向

約10分間の再現ドラマの最後には実際の現在の社長とお酒を酌み交わすという趣向

『飲食の戦士たち』のwebコラムは、いわばビジネス書的な立ち位置でまとめられたもの。連載900回となって貴重なデータベースとして育った。一方の“再現ドラマ”は、一人称の短編娯楽動画に仕上がっている。ビジネスのマインドで飲食業界を伝えるのではなく「おいしそう」とか「タイムスリップ」といった場面から、視聴する人と飲食業界との接点をつくり出そうとしている。

武田氏は「若い世代の人がこの動画の些細な場面から、この店で『働いてみたい』という動機が喚起されることにつながればいいなと考えている」と語る。

この再現ドラマは、テレビドラマや映画などに発展する可能性も秘めている。飲食業界を活発化するきっかけとなる存在として注目されていくことであろう。

image by: 株式会社キイストン
協力:株式会社キイストン , 株式会社ミストラル

千葉哲幸

プロフィール:千葉哲幸(ちば・てつゆき)フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

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