気づけば給料は韓国以下。日本の賃金が下がり続けている理由を元国税が暴露

 

日系の欧米企業は普通に賃金を上げている

このデータで着目していただきたいのは日本の国際企業の賃金動向です。昨今、日本企業は、世界中に工場をつくったり子会社をつくったりしています。欧米でも日系企業で働いている人はたくさんいるのです。

では、欧米の日系企業の従業員も、日本と同様に賃金が据え置かれたのかというと決してそうではありません。欧米の日系企業の従業員たちは、他の欧米企業の従業員たちと同様かそれ以上に賃金は上昇しているのです。

欧米では政府の定めた最低賃金が年々、段階的に上昇しており、また他の大企業も賃金を上昇させているので、日系企業だけが賃金を下げるわけにはいかないのです。欧米の労働者は日本の労働者よりも20~30%賃金が高いですが、欧米の日系企業もその高い賃金は支払っているのです。賃金が据え置かれ下げられてきたのは、日本のサラリーマンだけなのです。

なぜ日本のサラリーマンだけが賃金が下げられてきたのでしょうか?これは政治が悪いという点も確かにあります。中途半端なアメリカかぶれの竹中元総務大臣の経済政策のおかげで、サラリーマンの給料は下げられたという面も多分にあります。けれど、実はサラリーマン側が文句を言ってこなかった、という責任もあるのです。

日本の組合はまったく機能していない

なぜ日本のサラリーマンだけが賃金を下げられてきたのか、というとつまりは、日本のサラリーマンは企業からなめられているわけです。バブル崩壊後から現在までの間に、賃金を上げなかった会社もも会社ですが、「労働組合は何をしていたのか?」という話でもあります。労働組合の幹部には、決算書を読める人が一人もいなかったのではないか、とさえ思われます。

もし組合の中で決算書をぼんやりでも読める人がもっとたくさんいたら、おそらく日本の会社もこれほど賃金をケチったりはしていなかったでしょう。会社の決算書を見れば、収益がガンガン出ていて、利益剰余金も積もりに積もり、株主への配当もうなぎ上りに増加させていたのですから。

「会社は儲かっているし株主にもたくさん配当している。従業員にも会社の儲けを還元すべき」と訴えれば世間も味方につくはずですし、会社も折れざるを得なかったはずです。日本のサラリーマンはこれほど安月給であえぐことはなかったでしょう。

サラリーマンというのは、社会の中で圧倒的多数なのです。強く主張すれば、通らないはずはなかったのです。なぜ主張できなかったかといえば、現在のサラリーマンはまったく団結していないからです。

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