サラリーマンは圧倒的多数ではありますが、一人一人の立場は非常に弱いものです。でもそのために、サラリーマンには「団結権」というものがあるのです。団結権というのは、簡単に言えば、団結して労働組合を作って、会社と交渉する権利です。これがあれば、サラリーマンはけっこう強い主張をすることができます。
欧米では、労働者の権利が非常に強く、組合も労働者のために非常に役立つ動きをしています。その差が、賃金になって表れているともいえるのです。
昨今、日本の労働組合はあまり機能していません。また組合離れが進み、組合の参加率が非常に低いので、あまり発言権がありません。参加率が悪いのは、いろいろ理由があると思われますが、第一は労働組合が現実離れした政治闘争ばかりやっていて、肝心のサラリーマンの待遇改善などには疎かったということがあります。
労働組合のバックには、左翼系の政治団体がついていたりして、これがけっこう官僚主義的だったりするわけです(共産主義というのは、煎じ詰めれば巨大な官僚主義です)。はっきりいって、これまでの労働組合は、魅力があるものではなかったし、そこを会社側につけこまれて切り崩され、組織率が低下していったわけです。
でも、これからの経済社会、やはりサラリーマンは団結した方が絶対いいのです。国や会社はどんどんドラスティックになっていくのに、サラリーマンだけが丸腰で一人で戦うのは不利というものです。なので、今後は、新しい時代にマッチした、新世代型の労働組合を作るべきなのです。
労働組合を持っている方が、サラリーマンは絶対に得なのです。労働組合があれば、給料はそう簡単に下げることはできませんし、リストラも簡単にはできなくなるのです。
実は「労働組合」を成立させるには、そんなに複雑な手続きは必要ではないのです。極端な話、あなたの他にだれか後一人の参加者がいれば、その時点で労働組合はできたということになります。労働組合の結成に関しては、あらゆる思想、階級、身分の人が簡単に労働組合を作れるようにわずらわしい手続きや規約などは設けられていないのです。労働組合というのは、本来、敷居が非常に低いものなのです。
旧労組法では届出が必要でしたが今ではそういうこともないのです。会社側の承認を受ける必要もないのです。つまり労働組合を結成するということは、二人以上の組合員という実体があればもうそれで充分なのです。
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