気づけば給料は韓国以下。日本の賃金が下がり続けている理由を元国税が暴露

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この20年で賃金が下がっている先進国は日本だけ。儲かっても配当と内部留保に回して従業員に還元しない日本企業の体質はなぜできあがってしまったのでしょうか。賃上げがなければ経済成長はないと企業に対して厳しい声をあげ続けてきた元国税調査官の大村大次郎さんは、今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、労働者側にも責任があると指摘。海外ではいまでも強い力を持つ労働組合が日本では機能しなくなっていった実情を述べ、弱い立場の労働者が団結し、新しい時代にマッチした新世代型の労働組合を作るべきと主張しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2022年11月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

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なぜ先進国で日本の賃金だけが下げられてきたのか?

最近、日本人の賃金が安いということがよくビジネス誌などで言われるようになりました。また2020年のOECDの公表データでは、日本人の給料は韓国より安いことになっていました。OECD加盟国の中で、日本の平均賃金は22位であり19位である韓国よりも年間で38万円ほど安くなっているという結果が出たのです。

筆者は、10年以上前から、日本人の賃金が上がっていないことが非常に問題であると主張してきました。が、10年前は誰も聞く耳を持たず、景気が悪いから当たり前というような反応をされてきました。

しかし実は平成の30年の間の日本の景気というのは、決して悪いものではありませんでした。もうすっかり忘れ去られていますが、2002年2月から2008年2月までの73カ月間、日本は史上最長の景気拡大期間(好景気)を記録しています。この間に、史上最高収益も記録した企業もたくさんあります。トヨタなども、この時期に史上最高収益を出しているのです。

また2012年からはさらにそれを超える景気拡大期間がありました。つまり、平成時代というのは、「史上まれに見る好景気の時代」だったのです。日本企業の営業利益はバブル崩壊以降も横ばいもしくは増加を続けており、2000年代に史上最高収益を上げた企業も多々あるのです。2002年から2018年の間に、日本企業全体の経常利益は、2倍以上になっているのです。そして、日本企業は利益剰余金(内部留保金)を平成の時代に倍増させ、現在は500兆円を超えているのです。

にもかかわらず、企業は従業員の賃金を上げるどころか下げ続けてきました。その結果、日本はこの20年の間、先進国の中で唯一、「賃金が下がった国」になってしまったのです。

このメルマガでも何度かご紹介してきましたが、日本経済新聞2019年3月19日の「ニッポンの賃金(上)」によると、1997年を100とした場合、2017年の先進諸国の賃金は以下のようになっています。

アメリカ      176
イギリス      187
フランス      166
ドイツ       155
日本         91

これを見ると、日本だけが取り残されているという感じです。この2~30年、欧米の景気がよくて日本だけが悪かったということはありません。むしろ、日本企業は欧米企業よりも安定的に収益を出してきたのです。

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