佐高信氏が断罪する統一教会の反社会性。養子縁組で露呈した「子も親も教団のもの」という危険思想

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統一教会を巡る新たな疑惑として浮かび上がった「養子縁組あっせん問題」。親が信者である「宗教2世」の当事者による養子縁組問題の告白は、日本中に衝撃を与えました。こうした、子供を親や教団の「所有物」のように扱う統一教会の教義に対し、長年統一教会問題を追及し反社会性を指摘したことから教団より提訴されているジャーナリストの有田芳生氏など各所から大きな批判の声が上がっています。今回、人気メルマガ『佐高信の筆刀両断』の著者で辛口の評論家として知られる佐高信さんは、統一教会の「子供は親や教団のためにある」という絶対則が養子問題をはじめとする様々なトラブルの発生源となっているとの見解を示し、厳しい言葉で断罪しています。

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「親と教団のために子供はある」の教義が生んだ“養子”という恐ろしい発想

いまから40年ほど前に、東京は代々木にある修養団の本部へ取材に行った時の衝撃が忘れられない。

修養団は戦前からある社会教育団体で渋沢栄一が初代の後援会長であり、日立製作所や東芝等の一流企業が社員に研修を受けさせていた。

有名なのは“みそぎ研修”と呼ばれる水行。真冬の早朝、フンドシひとつで伊勢神宮を流れる五十鈴川に入らせる。

「小ざかしい理屈を捨て、バカになって物事に挑むキッカケをつかませる」と講師は言っていたが、戦後になっても修養団は解散させられるどころか、三井、三菱、住友等の旧財閥系の企業も協力して、現在も続いている。

隣に日本共産党の本部があり、驚いたのは修養団の人間が「彼らもいずれ参加させます。共産党員も陛下の赤子ですから」と平然と言ったことである。

敗戦から40年近くになるのに、天皇は日本国民の父親という思想は絶えることなく生きていたのだった。

天皇制は家父長制に支えられている。子どもは父親、特に父親に絶対的に従い、家の繁栄のための手段となる。命さえも差し出すのである。

これは日本国憲法が謳いあげた個人の尊厳や男女平等の思想と真っ向から対立する。

統一教会(私は旧はつけない。つけると改称を認めることになるから)もまったく同じであり、親および教団のために子どもはあるという考えである。

そこから“養子縁組”やさまざまな問題が発生する。

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文鮮明「父母の立場に立てば怨讐も許すことができる」の異常性

統一教会が一番喜んだ安倍晋三の「国葬」の日、私は『毎日新聞』の同行取材を受けて、渋谷区松濤にある統一教会本部を訪ねた。

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東京・渋谷区松濤にある統一教会本部 image by: Khhy, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

入り口のところに文鮮明と韓鶴子夫妻の写真が飾ってあって、

「父母の立場に立てば怨讐も許すことができる」

とある。これは、

「子どもを救うためなら、どんなことでもしようと思うのが父母の心です。そのような父母の愛をもって怨讐を許そうと決意するのです」

と説明されている。

それを見ながら私は、統一教会が勢いを得ていた時だったら、尊属殺人罪はなくならなかったのではないかと思った。

安倍を撃った山上徹也の場合は「母親による子殺し」とも言えるだろうが、戦前、戦中の教育勅語の親孝行は尊属殺重罰に裏打ちされ、国民は天皇の赤子だから天皇に忠義を尽くせという教えに収斂されていた。

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