天安門事件の再来か。中国で上がる反体制の声と江沢民の“亡霊”

 

しかし体調不良というのは間違いではなかったらしく、どうも持病であった心臓疾患の発作が起きたらしく、異変に気付いた習近平国家主席などがスタッフを呼んで退席を促したというのが、多方面からの情報を分析した結果、出てきた“結論”だと思われます。

ここには習近平国家主席の胡錦濤氏に対する思いやりと配慮(元国家主席のひどい情報を晒すのは、胡錦濤氏の尊厳にかかわる)があったとされますが、同時に自らの3期目を確実にした共産党大会の終盤でのいらぬ混乱は避けたいという思惑があったと言われています。

習近平国家主席は3期目に入り、このままだと死ぬまで国家主席の座にこだわるのではないかという憶測もありますが、実際にはいずれは“嫌っているとされる”胡春華氏(元副首相)のラインに受け継いでいくのではないかという見解も強くあります(これについては、私には分かりません)。

もしそうであれば、誰かが胡錦濤派(共青団)と習近平派の確執を演出し、中国共産党内での内乱をイメージづけようとしたのではないかという説も、ちょっと納得のいくシナリオに思えます。

実際に何があったのかは当人にしか分からないと思いますが、習近平氏は確実に第3期目という異例の支配体制を獲得し、共産党大会が無事に終わったことを受けて、しばらく見合わせていた外交も再度活発化させました。その中ではっきりしたのが、【台湾に対する強硬姿勢は堅持し、さらに明確化したこと】でしょう。

発言の中で【台湾の併合】について明言し、軍事的な侵攻の可能性もimplyしますが、実際には軍事的な併合はほぼ不可能であることも理解していると言われています。

もちろん軍事侵攻による台湾併合の可能性は排除できませんが、まだ国内的にフルサポートを得られている状況ではないことと、台湾に侵攻したとしても、コントロールを維持することは極めて困難であるとの分析もしっかりと認識しているようです。

1つは兵站・ロジスティックスの困難さです。仮に軍事的に台湾に侵攻しても、本土からの後方支援なしに台湾の統治・コントロールを継続することは出来ず、現時点ではまだその能力はないとの判断があるようです。

とはいえ、最近、本土と台湾との間に橋を建設するとの発表がありましたが、これは完成した暁には、兵站・ロジスティックス問題を解決・軽減する効果は見込めるものの、橋の開通が先か、習近平体制の終わりが先かは見通せない中、軍事侵攻はcredibleな策とは思えません。

2つ目は米軍など台湾の後ろ盾を自認している国々の介入の有無と対応のスピード次第だと言えます。

中国本土に米国などから攻撃が加えられることは、現行のロシアによるウクライナ侵攻のケースと同じく、非常に考えづらい状況ですが、台湾海峡を舞台にした介入は大いにあり得ると言えます。

その場合、自国の勢力エリア・反応エリア内での受け身の戦いであれば、十分に対応可能であるという分析結果が出されています。言い換えると防衛戦の場合、大きな対応能力を発揮すると言えます。

これまで中国包囲網としてクアッドやAUKUSが構成されていますが、どの程度スピーディーに連携を図り、united forcesとして対応できるかは未知数との考えです。

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