全ての説明がつく。米国が悲惨なウクライナ戦争をやめられない理由

 

米国内では、民主党がエスタブやマスコミ権威筋と結託し、ウクライナ戦争と地球温暖化と新型コロナの全てについて、覇権自滅的な超愚策を進めている。対照的に共和党は、以前に党を牛耳っていたエスタブ系と、トランプ以来の新興で草の根の反エスタブ右派ポピュリスト勢力が内紛し続けており、しだいにトランプ派が共和党を席巻している。バイデンの民主党は愚策ばかりやっているので支持が減り、トランプが席巻する共和党の支持率が上がっている。しかし民主党側は選挙不正のシステムを握っており、簡単には負けない。負けないが、民主党が選挙不正を繰り返すほど、共和党の支持者はそれに気づき、米国内の分裂状態がひどくなる。共和党のトランプ派は、ウクライナ支援に象徴される覇権行為の全体を放棄したがっている。米国は今後、政治分裂で決定不能性が高まり、いずれ共和党が政権に返り咲くころには、ドル崩壊も重なって、覇権放棄・孤立主義の国に変質している。

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このように米国が自滅しても、欧州(や日本)が対米従属を貫いて米国の弱さを穴埋めしてしまうと、米国の覇権が維持される。米国は1970年代、ニクソンショックやベトナム戦争で自滅しかけたが、日独が対米従属を貫いて米国を助けたので覇権が維持された。米多極派はあのころを繰り返したくないので、今回は欧州を狙い撃ちして経済自滅させ、欧州人が対米従属をやめたくなるように仕向けている。ウクライナ戦争や温暖化やコロナへの対策で欧州経済が自滅して市民生活が悪化するほど、欧州の人々は対米従属の従来エリートでなく、新興の右派ポピュリストを支持して政権につかせる方向に流れていく。右派ポピュリストはロシア敵視や対米従属を馬鹿げていると考え、欧州はロシアと和解して対米自立していく。欧州の変質が進むと、ウクライナ戦争も終わる。欧州人は、ウクライナがロシアとポーランドに分割されることを黙認する。

自滅させられた欧州

米国覇権が衰退したら、豪州やNZも中国と対立したいとは思わず、中国の経済圏に入っていく。アングロサクソンの世界支配は終わる。日本の自民党政権は、豪NZよりも現実的なので、米中両属が良いとすでに考えている。中国は習近平が独裁化を達成したので今年初めからコロナ愚策を全放棄して経済の高度成長を再開したが、日本もこれに同期してコロナ愚策を放棄し、春から国民へのマスク着用の奨励を解除する。この同期は、日本が経済面の対中従属を強めていることを示している。

コロナ対策やめて世界経済の中心になる中国
Satire Or Serious: “Why Didn’t The Unvaccinated Do More To Warn Us?”

(無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』2023年1月31日号より一部抜粋・敬称略)

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